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星間歩行 6

 ――なるべく明人に迷惑をかけないようにするから。  会社へ向かう電車のなかで結の言葉を思い出す。  結と本格的に話をするようになったのは、明人が大学に入って上京してからだった。大学の寮暮らしが窮屈で、美術大学の近くに下宿していた結のアパートへ逃げ込んだ。そのときに結が翔磨と付き合っていることを知ったのだ。  翔磨はもっとも長く結と付き合った人間だった。が、翔磨は同時にほかの女の子と浮気をしていた。結は、「僕なんかに付き合ってくれるから」と翔磨を許していた。明人は結がときどき見せる卑屈さを理解できなかった。  結がバイセクシュアルであることは他人事なので何とも思っていなかった。が、自分が義兄の恋愛の対象にされるのは気持ちが悪かった。結は中性的でかわいかったが、自分が結を女の子のように抱けるとは思えない。  子供のころの結は近寄りがたい雰囲気で、何を考えているかわからないところがあった。他人とは違う要素を自覚していたからこそ、結はふつうの子供から浮いていたのかもしれない。

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