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星間歩行 16
――兄に恋をした妹は異形の者で、人間から忌み嫌われていた。
明人は自分の部屋で小説を書きながら、結もそうではないかと気づいた。
結は以前からバイセクシュアルだったのだろう。そんな自分を隠して、孤独に生きてきた。子供のころの結が自分に性的な目を向けたことは一度もなかった。自分に認められたい一心でそうしてきたのであれば、明人は結を哀れだと思った。
結はいま何をしているのだろう。油絵のキャンバスへ向かって絵を描いている、ホテルのフロントへ立っている。食事をきちんと摂っているだろうか。結は絵の活動を優先するため、食事がおろそかにするようなところがあった。
たまには結と外で会って食事をしよう。明人はスマートフォンを取り出すと結にメッセージを送った。
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