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星間歩行 34
結から連絡がないまま、半年が過ぎた。
明人は会社の同僚に誘われて合コンに行ったり、飲みに行ったりしていた。が、気の合う女性と巡り会うこともなく、ひとりで時間を過ごしていた。
兄と妹の恋愛譚は公募の一次審査も通過せず、明人は新しい小説を考えなければと思っていた。
翔磨から手紙が届いたのは、寒さが本格的になった十二月の初旬だった。手紙には結の小品展の葉書が同封されていた。葉書に手書きで、結の在廊日が書かれている。
結は、個展があることを知らせてこなかった。青地に朱色のアマリリスを見て、結のアトリエに置いてあった絵だと思い出す。
結が画廊にいる日にちを入れているということは、翔磨は結と会うよう促しているのか、結を避けるように釘を刺しているのか。結の顔を見たいが、それは自分のエゴだと考え直す。
明人は結の在廊日を避けて、ひっそりと絵を観に行こうと決めた。
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