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第44話 浴衣

 自分たちの番になったから、深く二回お辞儀をした。手を合わせて二回拍手して、目を瞑ってお願いをする。  ――――どうか花楓と結婚できますように。  僕は彼と共にこれから、色んなことを経験していきたい。そう思って隣を見ると、彼と目が合って微笑み合った。  参拝が終わり僕たちが、歩いていると絵馬を見つけた。可愛い感じのやつがあって、僕は思わず立ち止まって見てみる。 「絵馬書いてみるか」 「いいね、書いてみたい!」  ということで、僕たちは絵馬を書く事にした。何を書くか悩んでいると、彼が涼しい顔をして書いていた。  何を書くんだろうと思っていると、【帝花楓と、広瀬湊は絶対に結婚します】と書いてあった。  それを見て恥ずかしがっていると、優しく微笑んでいた。その表情を見て、同じことを思ってくれてると嬉しくなってしまう。  僕たちはお互いの目を見て、微笑んで絵馬を決まった場所にかける。手を繋いで神社を後にする。 「次どこに行く?」 「どうしようか」  そんなことを話しながら、適当に歩いていた。すると急に雨が降り出して、適当なお店の中に避難する。  いらっしゃいませ〜と言われて、店内を見渡すとそこは着物とか浴衣が売っているところだった。 「浴衣か……二人分、買うか」 「浴衣買うの?」 「ああ、濡れちゃったし」  彼にそう言われて、浴衣を買うことになった。色んなものを見せてもらって、僕たちは浴衣を決めた。  僕のは水色ベースに白の水玉模様で、帯が黒色だった。七五三以来だから、変な感じがするけど似合っているかな?  そう思っていたが、店内から静かに歓声が上がる。そっちを見てみると、紺色のシンプルな浴衣に朱色の帯を見に纏う彼がいた。  シンプルだけど彼の金髪にいい感じに似合っていて、だいぶカッコよかった。それと同時に、誰にも見せたくないと思ってしまった。  そんな風に思って見つめていると、彼と目が合った。すると何故か顔を赤らめて、こっちに近づいてきた。 「似合ってるな」 「花楓もね」  そんな感じに僕たちは、ニコニコして見つめ合った。完全に周りからの視線が痛かったけど、気にしないことにする。  彼が普通に払おうとしたから、僕は慌てて財布を出す。しかし手で静止されたけど、確実に高そうだし払いたい。 「全額は無理にしても、出したい」 「いいよ、俺が湊に買いたいから」  そう言う彼はキラキラしていて、この笑顔には僕は勝つことができない。そのため頷くことしかできなかった。  下駄も買って外に出ると、通り雨だったらしく既に雨は上がっていた。僕たちは店員さんに勧められて、石塀小路という写真スポットに来ている。 「なんか、風情があるね」 「そうだな」  そう言って彼は僕の髪を触って、朱色のかんざしをつけてくれた。いつの間に、買ったのだろうか……。  それでも気持ちが嬉しくて、僕は優しく彼の顔を見て微む。すると彼はみるみるうちに、顔を真っ赤にしていた。  今日どうしたんだろう? 顔を直ぐに赤らめるけど、やっぱ暑いのかな? そう思って頬を触ろうとすると、急に腕を掴まれて引っ張られた。 「湊」 「花楓……」  腰を支えられていて、彼の端正な顔が近くなった。吐息の音まで聞こえる距離に、どんどんと早くなる心臓の音まで聞こえた。  もう少しで唇と唇がくっつきそうな距離になった時に、遠くから話し声が聞こえてきた。  恥ずかしくなって咄嗟に離れると、彼が不服そうにムスッとしていた。仕方ないじゃん、ここ外だし……見られたくないし。  そう思っていると、彼が外国人さん数人に話しかけられていた。内容的に道を、尋ねているようだった。 『すみませんが、京都駅にはどうやって行きますか?』 『京都駅は……』  そう言ってスマホで調べようとしたから、僕は直ぐに声をかけることにした。 『京都駅ならここから、あの建物を目指していけば辿り着けますよ』 「ありがとござます」 「はい、お気をつけて」  僕が道を伝えると、辿々しかったけど日本語でお礼を言われた。何度も頭を下げれたから、僕も何度か頭を下げた。  外国人さんたちが行ったのを見計らって、僕は彼の腕を組んで顔を見て微笑む。僕の頭を撫でてきて褒めてくれた。 「流石、元営業の英語力」 「えへへ、でも花楓も流石だよ」 「俺は海外に留学に行ってたし」 「どこ行ってたの?」 「アメリカだよ」  アメリカか……海外自体行ったことないけど、今度行ってみたいな。その前にパスポートを申請しないとね。  そう思っていると段々と日が沈んできて、ライトアップされ始めた。幻想的な雰囲気になってきて、綺麗だなと見つめていた。 「そろそろ、旅館に行こうか」 「うん、そうだね」  僕たちは腕を組んだままで、旅館までの道のりをゆっくり歩いた。旅館に着くと部屋に案内されて、僕たちは夕食までの間座椅子に座ってまったりする。 「歩いたから、疲れたな」 「普段デスクワークだもんね。ずっと気になってたんだけど、花楓っていつ体鍛えてんの?」 「その時の気分かな」 「何、そのざっくりとした回答」  僕のツッコミに何も言わないから、不思議に思って見てみると眠たそうにしていた。そのため僕は、部屋に置いてあった上着をかけた。  疲れてるよね……そう思って前に座って、寝顔を見つめていた。しばらくすると、コンコンとノックされたから返事をする。 「起きて〜夕食来たよ」 「う〜ん、よく寝た」  彼は背伸びして、完全に寝ぼけているようだった。その様子が可愛くて、僕は見つめていた。  夕食が運ばれてきて、僕たちの前に豪華な食事が並べられた。美味そうと思っていると、やっと目が覚めた彼も笑っていた。  旅館の中居さんが、頭を下げて部屋を後にする。お刺身やハモの湯引きした料理など、季節物が並べられていた。 「ハモって、初めて食べたけど美味しいね」 「ポン酢で食べると美味いぞ」 「う〜ん、僕ポン酢苦手なんだよね」  あの独特な風味がどうしても苦手で……お手製のタレで美味しいから、僕はいいや。そう思ってビールを飲んでみると合うな。  ハモって白身で淡白って聞いたことあるけど、美味しすぎて箸が止まらない。そう思っていると、僕のお皿に彼が置いてくれた。 「いいよ、食べて」 「俺は湊が喜んでくれればいいから」  そう言って微笑んでいて、僕はお酒のせいか体の体温が急上昇していく。そこで話を変えることにした。 「そういえば、花楓ってお酒飲まないよね? 苦手なの?」 「あー、飲むと人格が変わるみたいで」  確かにあの喧嘩した日、完全に別人になっていたもんね。怖かったから、飲まない方が良さそうだね。 「あの時の俺、怖かった?」 「あー、そんなことないよ」

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