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第46話 左手の薬指
ドライヤーで乾かしてくれて、体も丁寧に拭いてくれた。さっき買った浴衣をもう一度着て、手を引かれて寝室の方に連れて行かれた。
和室って感じの、奥深い侘び寂びの部屋だった。彼が窓を開けたことで、涼しい風が入り込んでくる。
二つ敷かれているうちの一つの、布団に座った彼の上に僕が前から座る。優しくキスをされて、舌を入れられて水音が響いてくる。
「んっ……」
「湊……いいか」
「うん、うん……」
僕が頷くと指がお尻に入ってきて、刺激が開始される。さっき少しほぐれたから、早いペースで刺激がくる。
彼の背中に、しがみつくことしか出来ずに身を委ねる。僕の変な声と、イヤラしい水音が室内に響いている。
「ひゃあ……」
首筋に舌を這わしてきて、いきなりだったから変な声が出てしまう。柑橘系の香りが、更に強くなってくる。
指をお尻から抜いてしまい、足りない……そう思って今度は、完全に意識して腰を揺らす。
「動かないで、ゴムするから」
「う、うん……早く」
ゴムをつけ終わったようで、静かに腰を支えられてゆっくりと落とす。段々と挿ってきて、体の重さで一気に挿ってきたようだった。
欲しかった刺激が一気に、押し寄せてきて軽くイってしまう。最初は凶器みたいで、挿るか不安だったのに簡単に挿るようになった。
体が変わっていっているようで、少し怖いと思っていた。すると急に腰を揺らされて、強烈な刺激がくる。
「こんな時に、違うこと考えるな」
「ちがっ……んっ……」
彼の瞳には僕しか写っていなくて、僕は途端に嬉しくなってしまう。自分からキスをして、舌を入れたりする。
色んな刺激が押し寄せてくる……そんな時だった。旅館の近くを流れる川で、開催されている花火大会が始まったようだった。
大きな音が聞こえたかと思うと、大輪の花火が打ち上がる。僕はちょうど窓側を向いていたため、視界に入ってきて幻想的だった。
「花火か……綺麗か?」
「う、うん……きれ……んっ」
正直花火よりも、僕を愛しそうに見つめる彼の瞳の方が何倍も美しく見える。僕がそう思っていると、また強く腰を動かされて奥の方に行ったり来たりする。
花火の音が響いているはずなのに、僕は自分たちの声の方が響いているように感じた。
段々と腰の動きが速くなってきて、肌と肌がぶつかる音が響く。僕の喘ぎ声と、水音が鮮明に聞こえてくる。
僕が限界を迎えそうになると、急に腰の動きをやめた。足りない……そう思っていると、優しく布団に寝かされた。
ゆっくりと抜かれて、物足りない……僕はそう思って、しがみつくが優しい瞳を向けられる。
「もう、止めるの……」
「ちょっと待ってて」
そう言っておでこにキスを落とされて、彼は鞄から何やら箱を取り出す。何だろと思っていると、左手の薬指に指輪を嵌められた。
「これって……」
「愛してる。俺と結婚してほしい」
薬指にキスを落とされて、真っ直ぐに目を見られる。いつもよりも綺麗で、後ろから花火の灯が見える。
「僕でよければ、よろしくお願いします」
「うん、ありがと。絶対に幸せにする」
もう一度目を見て、薬指にキスを落とされる。結婚はいいんだけど、早く続きをしてほしい。
そう思って彼の腕を掴むと、優しく微笑んでいた。そして首筋にキスを落とされて、舌を這わされる。
胸を触られて摘まれたり、つねったりして刺激をくれる。だけど、そうじゃなくて……さっきの続きをしてほしい。
「そんなに、物欲しそうな顔しなくてもするから」
「うん、はや……く」
僕がそう言うと両足を上げられて、ゆっくりと挿れられる。次の瞬間、速く腰を動かされる。
さっきとは違う刺激に、体がビクンと跳ねてしまう。肌と肌がぶつかる音と、イヤラしい水音が聞こえてくる。
欲しかった刺激をくれて、僕は彼の背中にしがみつく。強まってくる柑橘系の香りに、より一層変な声が出てしまう。
最初は聞かれることが恥ずかしかった声も、今は気にしなくなってきた。もっと速くなったり、遅くなったりして気持ちよくなってくる。
彼が僕のを触ってくれて、より一層刺激が強くなってくる。彼のも一気に大きくなって、同時にイってしまう。
「イクッ……」
「ふっ……」
僕のお腹のところに温かいものを感じて、中からも温かいものを感じる……。ゴムしてるから大丈夫だとは思うけど……。
抜かれたものを見ると、いつもと同じく大量の白濁した液体が見える。僕たちのお腹や、浴衣にも僕の体液が付いていた。
「ごめっ……汚れた」
「フッ……大丈夫、クリーニングで落ちるから」
そう言っておでこにキスを落とされる。その瞬間に花火のうち上がる音が聞こえて、僕は彼の腕を掴む。
目を見て微笑み合って、素直な気持ちを告げることにする。
「今度は紅葉の季節に来たい」
「そうだね……ここからなら、紅葉が綺麗だと思う」
優しく触れるだけのキスをして、そこで急激な眠気に襲われた。温かいものに包まれて、柑橘系の香りがした。
目が覚めると朝陽が入り込んできて、眩しくて目を瞑ってしまう。でも目の前で、笑っている彼が目に入る。
「おはよう、寝れた?」
「う、うん……寝れたよ」
彼の左手の薬指を見ると、同じ指輪が光っていた。プロポーズされたことは、夢じゃないって改めて認識する。
急激に恥ずかしくなって、起き上がろうとする。しかし腰が痛くて情けない声が出るだけで、無理だった……。
彼はそんな僕を見て、肩を揺らして笑っている。あの優しい人はどこに行ったのだろうか……。
そう思ったけど、僕を見つめる瞳がいつも以上に優しくてどうでもよくなった。それから露天に入って、朝食を取っている時に僕は伝えたいことを告げる。
「明日なんだけど、用事ある?」
「特にないよ、何かあるのか」
「詳しいことは明日言うよ。花楓を連れて行きたいとこがあるんだ」
「うん、分かった。楽しみにしてるよ」
僕の言葉を聞いて二つ返事で頷いてくれた。明日は両親の墓参りに行って、正式に彼とのことを告げよう。
次の日。僕が車を運転して、両親の墓参りに行く。途中で線香や蝋燭など、必要なものを買った。
「ここって」
「うん、僕の両親のお墓だよ」
「紹介してくれるってこと?」
彼が優しく微笑んでくれたから、僕は頷いてお墓の前にしゃがみ込む。そして両親の優しい微笑みを、思い浮かべてしっかりと伝える。
「うん、お父さんお母さん。僕彼と結婚するよ。天国で見守っていてね」
「何があっても、俺が必ず息子さんを幸せにします。見守っていてください」
そう言ってしゃがみ込んで、僕の手に手を重ねてきた。立ち上がって僕たちは、手を優しく合わせて目を閉じる。
彼が大輪のお花をお墓に供えてくれて、一気に華やいでいく。僕たちは手を繋いで見つめあって、身を寄せ合って空を見上げた。
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