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第49話 僕を番にして
それからいつものように仕事して、今日出来なかった会議を土曜日の午前中にすることになった。
それ以外はいつものように、過ごして僕は完全にお兄さんのことを忘れていた。彼からも特に何も言われなかったし。
それも有ったし、彼の方が大事だった。そのため完全に忘れていたのだが、今めんどくさいことになっている。
「運命の番なのだから、結婚すべきだと思う」
「えっと……その僕は」
「兄さん、湊が怯えているのでストーカーは止めて下さい」
月曜日から毎日のように、会社に来てお兄さんに求婚されている。今日で既に一週間になった。
その度に僕は社長の後ろに隠れて、怯えているというか……只々困惑している。しかもこの人、節度? を持ってストーカーしてくる。
仕事がひと段落したタイミングで来てるから、業務に支障がないから何も言うことが出来ない。
運命の番だから、結婚しようと言ってくる。最初のうちは彼も、適当にあしらっていた。
しかし段々とポーカーフェイスをしつつ、眉間に皺を寄せ始めた。
ついには、その日の夜の仕事終わって家に帰った。ソファに彼は、ネクタイを緩めながら座っていた。
「くそっ……マジであり得ない!」
「えっと、落ち着いて」
「これが落ち着けるかよっ! 毎日、毎日! いい加減にしろよっ!」
ずっとイライラしてソファで、貧乏ゆすりをしていた。僕は後ろから抱きついて、自分の気持ちを伝える。
「僕はいつでも、番になっていいんだよ」
「……番はΩにとって、人生の一番の決断になる。マーキングをしてしまった俺が、言える義理じゃないが……」
彼はそう言って落ち込んでいて、マーキングに関しては驚いた。蒼介のこと、好きじゃなくなっていく自分が怖かった。
でもそれ以上に、花楓のことを好きになっていく自分が嬉しかった。マーキングとか、同化のことを隠されていたのは悲しかった。
それでも、それとは別に彼のことが本気で好きだから。迷いなんてものはないし、このまま苦しむのなら……。
彼は僕の手を掴んで、心配そうに見つめてきてその手は少し震えていた。僕は彼の目を見て、優しく微笑みながら告げる。
「僕を番にして、お願い」
「いいのか、本当に」
「うん、お願い」
僕はこっちを、見てくる彼の唇に自分の唇を重ねた。そのまま手を引かれて、寝室に連れて行かれた。
ベッドに座った状態で、後ろから抱きしめられた。そのままワイシャツのボタンを外されていく。
その時に胸に手が当たって、変な声が出てしまう。首筋にキスを落とされて、思わず口を抑えてしまう。
「声聞かせて」
「はずか……し」
「今まで何度も聞いてるけど」
「そっ……だけど……んっ」
耳元で囁かれたかと思ったら、今度は胸の辺りを触り始める。つねったり、摘んだりして刺激を与えてくる。
それだけじゃなく、首筋や耳に息を吹きかけてくる。後ろからっていうのが、少し怖かったけど気持ちいいと感じていた。
完全に体を彼に預けて、僕は快楽に溺れていく。顔は見えないけど、柑橘系の香りが漂ってきている。
それに、彼のものが僕のお尻に当たっている。ズボン越しでも分かるぐらいに、主張していて興奮しているようだった。
ベルトを器用に外してきて、僕のを下着越しに触ってくる。物足りない……そう思っていると、下着を少し下ろされて扱き始める。
それと同時に、胸元も弄られていた。二つの快楽に、僕はもう声を抑えるのが無理だった。
「湊、四つん這いになって」
「んっ……はずか……」
「お願い」
耳元で優しく甘い声で囁かれたら、嫌とは言えずに四つん這いになった。すると一気にズボンごと下着も下ろされた。
その辺にポイっと投げ捨てられて、マジマジと僕のお尻を見つめていた。う〜恥ずかしいからそんなに見ないで……。
急にお尻を舐められ、舌を入れてきて水音が響いてきた。そして僕のを扱いていて、軽くイってしまう。
それでも止めずにそのまま、刺激が強くなってくる。気持ち良すぎて、何も考えることが出来ない。
「ひゃあ! ……んっ」
「ここ、気持ちいいんだ」
僕のを扱きながら指を入れてきて、掻き回してくる。一本二本と指が増えていって、より一層刺激が強くなってきた。
するとそこで彼は、動きを止めたようだった。足りないと思っていると、ベッド脇の棚からゴムを取り出す。
ローションを付けて、ゆっくりと僕の中に入れ始める。直ぐに一気に奥まで入れられて、腰を早く動かされた。
両手を繋がれて、より一層体温を感じていた。水音と肌と肌がぶつかる音がして、気持ち良すぎて頭がぽやあとしてくる。
気持ち良すぎて、何も考えられない……。イキそうになった時に、うなじを舐められた。
「ひゃあ! ……んっ、なに……」
「噛んでいい?」
「うん……いいよ、か……んで」
僕がそう言うと、うなじを噛んでくれた。その瞬間、全身に雷が落ちたような感覚になった。
それと同時に、体がフッと軽くなったのを感じた。今まで感じたことがない感覚がして、なんとなく番になったのだと思った。
僕がイクのと同時に、彼のも僕の中で大きくなった。ほぼ同じタイミングで、僕たちは白濁とした液体を放出した。
「はあ……はあ」
「ふう……抜くよ」
「うん……」
僕が頷くと、ゆっくりと抜かれたのが分かった。そこで僕は本当に番になったのかが、心配になってきた。
彼は抱きしめられて、そのまま起き上がらされた。彼の鼓動と吐息が聞こえてきて、耳元がこそばゆかった。
「番になったのか?」
「た、多分……どこかに紋様が現れているはずだけど」
番になるとそのα特有の、紋様がΩの体のどこかに刻まれている。僕から見える範囲にないみたい。
彼にワイシャツを脱がされて、背中や腰の辺りを触られた。くすぐったくて、笑ってしまう。
「あはは、やめて。くすぐったいよ〜」
「へえ〜脇が弱いんだ」
するとニヤニヤした彼に、色んな所をくすぐられてしまう。もうっ! 限界だよと思って、振り向いて微笑みかける。
すると彼は少し驚いていて、直ぐに体を反転された。そしてそのままベッドに押し倒された。
「か、えで?」
「……湊、舌出して」
「えっ? なんで」
「いいから、出して」
そう言って頭を撫でられたから、大人しく従って舌を出す。すると彼に舌を触られて、複雑そうな表情を浮かべていた。
どうしたのだろうと思っていると、ベッド脇にある棚から鏡を取り出す。そして僕にそれを見せてきた。
「あっ……これって」
「まさか、舌に出るとはな」
紋様が僕の舌に出来ていて、名前と同じく楓の形をしていた。なんか、恥ずかしい……こんなの誰にも見せれない。
ただ不幸中の幸いなのか、この紋様は普段は出ないのだ。Ωがヒートを起こして尚且つ、αといる時じゃないと出ない。
だからこの文様を見るのは、彼だけだから安心だ。急に顎を持ち上げられて、彼に目を見ながら囁かれた。
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