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第52話 返事は?

 しかも僕が寝ていた間に、このことはニュースになっているらしい。僕たちの名前は出ていないけど、会社は今てんてこ舞いらしい。 「花楓の刺した時の傷も、後数センチずれてたら……考えたくないが、ヤバかったらしい」  そう言うお兄さんの目は赤く充血していて、目の下には隈ができていた。どんなに心配していたのか、聞くまでもなかった。  数センチずれていたら……そう思ったら、急に怖くなってしまった。体が震えてきたけど、彼が優しく抱きしめてくれた。  それだけで嬉しくなってしまって、不安が薄れていくような気がした。優しい柑橘系の香りが、漂ってきていて安心してしまう。 「ゴホンッ……こんな時になんだが、体調が万全になったら父が会いたいと言っている」 「……分かった。どの道、避けて通れないからな」 「広瀬さん、弟をお願いします」 「はいっ! こちらこそ、これからよろしくお願いします」  僕がそう言ってお辞儀をすると、お兄さんは笑っていた。そして頭を下げて、病室を後にした。  僕たちは、当たり前のように見つめ合って微笑む。彼に頭と腰を支えられて、端正な顔が近づいてくる。  僕は彼の上に跨って目を閉じて両腕を摑むと、優しく触れるだけのキスをした。それから舌を絡ませて、お互いの熱を確かめる。 「か……えで」 「やっぱ、紋様が現れたな」  舌を触られて紋様を見られて、体がゾクゾクしてきた。しばらくやってないし、柑橘系の香りが強くなってきた。  病室でしかも、彼は怪我してるし……よくないと分かっているけど、全身で彼の熱を感じたい。  そう思ったら、お尻をいやらしく撫でられる。体がビクッと反応して、変な声が出てしまう。 「もうっ……その辺で」 「いいじゃん、ヤリたい」  ド直球で優しい瞳を浮かべ、そう言われて嬉しくなってしまう。僕はもう一度、優しくキスをして舌を絡ませる。  背中や腰やお尻を触られて、またビクッと反応してしまう。そこでドアに鍵をかけようと思って、一回彼の上から降りてドアの方に行く。 「どこ行くんだ」 「か、鍵閉める……」 「そうか、分かった」  僕は急に恥ずかしくなってきたけど、鍵を閉めて無言でベッドに近づく。考えてみたら。大胆なことをしているのではないか……。  そう思っていると、急に腕を掴まれて引き寄せられた。彼の顔が間近にあって、ドキドキして目を逸らしてしまう。  すると頭を抑えられて、舌を絡まされた……いやらしい音が響いて、腰も触られて……また更に、体がビクッと反応する。 「上に乗ったままでいいか」 「うん……」  僕が頷くと首筋にキスをされて、入院着に手を入れられた。お尻を触られて、擦られて……気持ちいいけど、そんなんじゃ足りない。  そう思っていると、指を入れられていつも以上に感じてしまう。いつもと違って、声を出せない場所だから必死に抑えていた。  キスをされて口を塞いでくれたから、なんとか漏らさずにいられた。指の本数が一本から、二本三本と増やされてかき回される。  柑橘系の香りが、段々と強くなってくる。僕はその刺激に耐え消えきれずに、彼の上に覆い被さってしまう。 「はあ……もう、むり」 「じゃあ、俺の大きくして」 「……それって」 「早く〜」  そんなウルウルした瞳で言われたら、拒否できないじゃん。ほんとこの人、ズルいんですが……。  僕がその言葉に頷くと、指を抜かれたから上体を起こした。そこで彼は枕元で、手をゴソゴソとしていた。  どうしたんだろうと思っていると、ゴムを取り出してニヤニヤしていた。なんでそんなとこにあるんだよ……。 「な……ん」 「鍵閉めた時に、カバンから取っておいた」  用意周到なことで……僕は彼のズボンを下ろすと、かなり主張した大きな凶器がお出ましになる。  こんなの口に入れる必要性ないでしょ……準備万端じゃん……僕は彼からゴムをもらって、それを震える指でつける。  意を決して口に含むと、ドクドクしていて大きくて入らない。それでも頑張って、扱きながらやってみる。 「ふう……」  彼の方を見ると、気持ちよさそうにしていた。そして声を必死に、押し殺しているのが目に入ってくる。  僕も何回かやっているうちに、段々と上手くなってきたようだ。そんな時だった。病室のドアがノックされて透真の声がした。 「おーい! 湊! 差し入れ持ってきたぞ」 「反応ないから、寝てんじゃない?」 「でも、鍵閉めて寝るか?」  離そうとしたのに、頭を軽く押さえつけられて離すことが出来ない。何考えてんだ! って思って見るとニコニコしてた。  律さんもいるようで、二人の話し声が聞こえてくる。ドアを開けようとしているようで、彼を睨むと声を発した。 「湊がぐっすり寝ていて、俺に抱きついていて離せないので。荷物はナースステーションにでも預けて下さい」 「えっ……でも」 「……透真、行こう。お盛んなようだし」 「……あー、なるほど」  何かを察したようで、二人の足音が遠くなって行く。僕が再度ギロっと睨むと、何故かゴム越しに白濁とした液体が出た。  彼の手の力が弱まったのを見計らって、口を離して睨むと満足そうにしていた。このヤロー、マジで可笑しいって! 「もうっ! 何、考えて!」 「あー、ごめん。つい」  そう言いつつも彼は、ニヤニヤしていて反省の色が見えない。少しイラッとしたけど、僕だって我慢の限界なんだけど……。  そう思ってゴムを外して、もう一度新しいゴムをつける。驚いている彼を無視して、僕は自分のお尻に当てる。  ゆっくりと挿れていくと、結構すんなりと全部挿っていった。僕のお尻変なことになってそう……。 「動いて」 「い……われ、な……くても」  ニヤニヤ顔をしている彼だったが、僕のを触って扱いてくれる。気持ちいい……僕は自分なりに腰を動かすけど上手くいかない。  そう思っていると、彼が僕のを扱くのをやめた。すると僕のにも、ゴムをして悪そうな笑みを浮かべていた。  腰を急に掴まれて、腰を上下に動かされてしまう。僕は声を出さないように、必死に両手で口を押さえる。  それを見てより一層腰の動きを早くして、水音と肌と肌がぶつかる音が響く。僕がイキそうになったのと同時に、彼のも僕の中で大きくなった。 「イクッ……」 「はあ……」  思わず全身の力が抜けて、彼の上に倒れてしまう。優しく抱きしめてくれて、幸せなひと時に浸る。  それはそれとして、僕は彼の目を見て微笑んだ。そして気になっていたことを、ニコニコ笑顔で聞いてみる。 「そういえば、僕のスマホにGPSと盗聴器のアプリ入れてたんだってね」 「……あっ、いやっ……そのっ」 「今回はそのおかげで、上手く行ったけど……これからは、僕の許可なしで使わないでね。返事は?」 「……分かりました」  彼は僕から目を逸らして、変な汗をかいていた。そんな彼が可愛くて、ついイジワルしたくなった。  散々今までイジワルされていたんだし、それぐらい許されるよね。少しバツが悪そうにしている彼に、優しくキスをした。  彼と共に微笑んでまた強く、抱きしめて自分たちの体温を感じ始める。生きててくれてよかった……。  気がつくと寝ていたようで、体が綺麗に拭かれていた。それはそれとして、病室でヤッタことがバレて咲良さんに怒られたのはまた別のお話。

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