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第73話 分かりやすい

「慣れて来たから、次はシュノーケリングをしよっか」 「やったことないよ」 「俺もないけど、ガイドさんを頼んでおいたから」  いつものことながら、用意周到だね……。まあいいけど、折角だから日常でやらないことをしたいもんね。  現地のガイドさんに教えてもらいつつ、必要なものを揃える。よく分からなかったけど、言われるままに着替える。  専用の手袋と靴も穿いて、フィンと呼ばれる足ヒレを付ける。専用の黒いマスクもつけえて、口にシュノーケルっていう息をするやつをつける。 「準備できたな」 「うん、行こう!」  彼と手を繋いで、海の中に潜っていく。浅瀬のところで、海藻や魚や珊瑚礁などを見た。  水族館とかで見るよりも、間近で見れる感じがして楽しかった。ガイドさんに、ピースした写真を撮ってもらった。  水面に上がって僕たちは、う〜んと背伸びをした。海の中も幻想的で、日本じゃ味わえないような高揚感を味わえた。 「楽しかったか」 「うん、花楓は?」 「俺は湊が楽しければ、楽しいよ」  そんなことをそんな甘い声で、微笑みながら言わないでほしい。それでも嬉しくなって、見つめてしまう。  優しくシュノーケルやマスクとかも、外していってくれる。その間も僕たちは、お互いの目を見つめ合っていた。  そんな時にガイドさんに、ため息混じりに英語で声をかけられた。僕は直ぐに我に返って、恥ずかしくなってしまう。 『もうそろそろ、いいかね?』 『あっ、はい。大丈夫です……』  僕が俯いていて答えると、彼は笑って僕の手を引いて歩き出す。シュノーケリングの道具を返して、パラソルのところに戻る。 「お腹空いたな」 「そういえば」  僕たちはお腹が空いて来たから、海にあるレストランに足を運んだ。そこはワッフルが有名らしく、イチゴソースとブルーベリーソースを頼んだ。  コーヒーとよく合うらしく、一緒に頼んで席に座った。ハワイと言っても、やっぱ日本人が多いな。 「持ってきたぞ」 「うん! 美味しそう」 「食べよっか」 「いただきま〜す!」  このワッフル外はサクッとしていて、中はもっちりしていてかなり美味しい。彼も嬉しそうに食べていて、それだけで幸せな気持ちになってしまう。  程よい甘さがコーヒーのほろ苦さと、合って直ぐに食べ終わってしまう。彼も食べ終わったのを見て、話しかけると微笑んでいた。 「美味しかったね」 「ああ、うまかったな。よしっ、次の観光地に行こう」 「うんっ」  次はどこかへ出かけるみたいだから、パラソルを片付けて一旦ホテルに帰ることにした。部屋に入って、僕たちは軽くシャワーを浴びる。  毎度のことながら、洗いたそうにしていた。それぐらい自分で出来るからね。子供だと思ってるのかな。 「自分で洗うからいいよ」 「昨日は、洗って〜って甘えてたのに?」 「あ、あれは……眠たかったからで」 「可愛かったな……」  そう言って胸の辺りを弄ってきて、ビクンと体が反応する。もうっ……この人のせいで、体が前よりも敏感になって来ている。  それにこんな昼間から、盛らないでよ。そう思って僕は少し距離を取って、自分で洗い始める。 「み〜な〜と」 「早く洗って、行こうよ……盛るのは、夜で」 「ふっ……了解」  なんかとてつもなく、恥ずかしいことを言ってしまったような……僕は気にしないようにして、急いで体を洗って風呂場を出た。  彼も直ぐに出てきて、髪を乾かしてくれた。体を拭いていつの間にか、準備していたアロハシャツに短パンを穿いた。  いつものことながら、用意周到なことで……。もうツッコむことは、めんどくさいからしないことにする。  それに楽しそうに、鼻歌を歌っている彼を見る。僕のために計画してくれたんだよね。そう思うと素直に、楽しもうと言う気持ちになってくる。 「さて、準備ができたから。向かうか」 「うん!」  腕を組んで僕たちは、ホテルを後にする。トロリーという二階建てのバスって言えばいいのかな?  よく分からないけど、辺りを見渡せるバスに乗って次なる目的地に向かう。着いたのは、牧場だった。  動物が好きなんだろうね。うさぎを気に入っていたし……コスプレさせられたのは、一旦忘れておこう。  腕を組んで彼の方を見て、微笑むと何故か顔を真っ赤にしていた。熱中症とかじゃないよね? 「さ、行こうよ」 「ああ、楽しみだな。うさぎいるかな」 「もうっ、恥ずかしいから言わないで」  顔を真っ赤にして言うと、肩を揺らして笑っていた。もうっ、でも楽しそうだからいっか。  牧場の中に入ると、バスなんかも走っていて風景が違って見える。周りに日本人の観光客が多いから、忘れていたけどここハワイだった。  彼と一緒にいると、何処にいても何しても楽しいんだよね。視線を感じて見てみると、こっちを見て微笑んでいた。 「ど、うしたの」 「湊を見ているだけだ」  この人はどうして、こんな恥ずかしいことを素で言えるのだろうか。途端に恥ずかしくなってしまった。  僕は彼の腕を引っ張って、牧場の中を進んでいく。色んな場所を見て周り、うさぎのコーナーに行くと彼がはしゃいでいた。 「うさぎ、そんなに気にいったのね」 「気に入ったが、俺は湊のうさぎの方が好きだな」 「バカッ……」  しゃがんでうさぎを、撫でている彼の横に僕もしゃがんだ。もうっ、ほんといやらしいことばかり……。  とは思いつつも、僕もうさぎと戯れて遊んだ。うさぎを買うのは無理だろうけど、たまには遊びに行ってもいいかな。  彼が満足したようだったので、次は乗馬ができる場所に行った。そういえば、幼稚園ぐらいの時に透真一家と僕の両親とで牧場に行ったことあったな。  ポニー子供用の馬に乗ったけど、透真が怖がっていたっけ。透真高いとこ、苦手だから。  思い出して笑っていると、彼に頭を撫でられた。見てみると穏やかに笑っていて、嬉しくなって微笑む。 「どうしたんだ?」 「昔、透真がポニーに乗って怯えてたの思い出して」 「へえー、湊はどうだったんだ?」 「僕? んー、透真が怯えていた記憶しかないな」  僕がそう言うと彼に手を引かれて、乗馬の体験コーナーまで連れて行かれた。何故か僕が乗ることになっていて、まあ乗らない理由もないから乗ることにする。  プロテクターとかをつけてもらって、僕は馬に乗ってみる。少し高くて怖かったけど、近くで彼が見守ってくれていたから大丈夫だと思えた。 「面白かったか?」 「うん、花楓も乗ってみたら」 「……俺はいい」  あー、分かりやすい。怖いんだな……怖いならそう言えばいいのに、可愛いな。キュンとしてしまって、腕を組んで歩き出す。

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