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第79話 花楓の作ったご飯
僕のから透明な液体が、勢いよく出てしまう……これ、何……分からないって思っていると、彼に耳元で呟かれる。
「これが潮吹きだよ」
「し……お?」
「イッた後に刺激すると、出てくるものだよ。気持ちよかったでしょ」
「う、うん……」
目がチカチカしてきて、一気に眠気が襲ってくる。すると優しく抱きしめられて、ベッドに寝かされた。
「お風呂入れてくるから、待ってて」
そう言われて、気がつくと寝てしまっていた。目が覚めると月明かりに、照らされた彼の優しい微笑みが見えた。
嬉しくなって起き上がると、彼に優しく抱きしめられた。キスをされて体が、熱く火照っていくのが分かる。
「お風呂行こうか」
「うん、抱っこ」
「はいはい」
彼にお姫様抱っこされて、お風呂場に連れて行かれた。椅子に座らされて、優しく丁寧に体を洗ってもらう。
今更ながら、こんな風に毎回洗ってもらうってどうなんだろう……流石に毎日じゃないけど、恥ずかしくなってしまう。
浴槽に入って後ろから抱きしめられて、優しく微笑まれた。そこで僕は思っていることを、聞いてみることにした。
「こんな風にいつも洗って、飽きないの?」
「俺が湊に関することで、飽きることなんて何もないよ」
「あっ……左様ですか」
なんかこれ以上聞くのが、馬鹿馬鹿しくなってきた。しばらくお湯に浸かってから、僕たちは上がった。
髪を乾かしてもらって、明日に備えて寝ることにした。目が覚めると彼の寝顔が目に入って、しばらく見つめていた。
クルーズ船で朝ご飯を食べていて、僕はふと考えてしまう。高級な料理でとても美味しいけど、やっぱ花楓の作ったご飯が食べたい。
「どうした?」
「花楓の作ったご飯が食べたい」
「ふっ……帰ったら、幾らでも作るよ」
「楽しみ」
そんな感じで微笑み合って、でも僕は大切なことを思い出す。とても大切で、重要なことを。
「もやしはやめてね」
「……わかりましたー」
少し不貞腐れて言っている彼が、可愛くてつい笑ってしまう。僕につられて彼も笑っていて、ほんわかした空気になった。
クルーズ船から出て、僕たちはホテルに戻った。今日の夜には飛行機だし、ゆっくりしようということになってテラスでまったりしていた。
「テラスっていいよな」
「いい感じだよね。ここからなら、海も見えるし。見晴らしもいいし」
「テラスのある部屋に引っ越すか」
確かにテラスはいいけど、東京に行ってもこの景色は見えないしな……同じテラスでも、景色が良くないと微妙かなって思う。
テラス自体はいいけど、こういうのは特別な場所だからいいんだと思う。そのため、やんわりと断ることにした。
「たまに見るから、いいんじゃないかな? 特別な景色ってことで」
「ふむ……確かにな」
そんな感じで納得してくれたようで、僕たちはまったりしていた。しばらくすると、小腹が空いてきた。
そのため、ルームサービスでハンバーガーを頼んだ。今回はポテトも注文して、シェアして食べた。
「二人で分けたら、ちょうどいいね」
「ああだな……こういうのって、いいよな」
「ん?」
「俺誰かと、こうして食べ物をシェアするって湊が初めてだったからさ」
屈託のない笑みを、浮かべて言ってきた。僕が何気なくしてきたことが、彼にとっては初めなのだと分かった。
それと同時に、僕が彼の初めてを一緒に体験できて嬉しいと思った。これからも彼の初めてや、僕の初めてを二人で体験していきたいと思った。
「これから、もっと体験していこうね」
「ああ、二人でな」
ハンバーガーを食べながらだけど、僕たちは当たり前のようにキスをした。僕の口元に付いていたのが、彼の口についていた。
僕は笑って彼の口元を拭くと、彼も僕の口元を拭いてくれた。その光景が面白くて、再び目を見て微笑み合った。
飛行機の時間になって、僕たちは飛行機に乗っていた。ほんと、早いよね……酔ってしまう前に寝ることにした。
僕は彼の肩に寄りかかって、柑橘系の香りに安心して寝てしまう。これからも、彼と二人で色んな困難を乗り越えていきたいと思った。
その数日後。透真と律さんと四人で、居酒屋で集まっていた。お土産を渡すと、二人とも微妙は顔をしていた。
「呪いの人形か……」
「変なお面……」
「僕たちの気持ちが込めてあるよ」
僕がそう言うと彼も隣で、笑っていて僕たちは身を寄せ合っていた。そんな僕の発言に、二人は若干引いているように見えた。
「気持ちね……嬉しいけど、怖いんだが」
「右に同じ」
二人のために真剣に? 買ってきたのに、酷いよ〜。真剣だけど、少し茶目っ気も含まれているけど……。
今の僕たちは、幸せムード全開なため気にしないことにする。そう思っていると、華麗に透真に話を変えられた。
「二人とも焼けたな」
「そうなんだよね」
「湊の顔に、日焼け止めを塗っていれば」
彼は日焼け止めを塗ってなかったから、完全に日焼けしていた。僕は彼の発言通りに、顔に日焼け止めを塗っていなかった。
そのため、黒くはならなかったけど……赤くなって、ヒリヒリしていてお湯に沁みると少し痛い。
「大丈夫だよ。これも旅行の醍醐味だから」
「湊……ありがと」
そんな感じで人目を気にせずに、イチャイチャしていた。完全に二人が引いているようだったけど、気にしないことにする。
蒼介とはまだ直接会うことに躊躇ってしまうため、透真に渡してしまった。メッセージアプリで蒼介から、ありがとうと連絡が来た。
いつか、あの時のことを笑って話せるような関係性になりたいなと思った。まあ、蒼介と連絡を取っていると彼が不貞腐れてしまうけど。
四月になって、彼の誕生日になった。僕はデパートで彼に、スーツにつけるネクタイピンをプレゼントした。
四月の誕生石のダイヤモンドが、入った少しお高めのやつ。彼にはいつも、何かとお金使ってもらってるし奮発した。
「ありがと、いつもつけるよ」
「嬉しいけど、スーツの時だけね」
「そうなるか……」
顎に手を置いて本気で考えていて、普段着でもつけるつもりだったな……一応、釘刺しておいて正解だった。
それでも彼がネクタイピンを持って、嬉しそうにしていた。僕も嬉しくなってしまった。
ソファに座っている彼の膝の上に座って、僕から優しくキスをした。優しく抱きしめてくれて、この幸せがいつまでも続けばいいのになと思った。
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