83 / 87
第83話 特注品
僕が答えると嬉しそうにしていて、周りから変な目で見られたけど気にしない。結婚式なんだから、これぐらい普通だよね……。
まあ細かいことはいいとして……そんな感じでほのぼのと談笑していると、東雲さんと輝くんに声をかけられた。
「社長に、夫人。おめでとうございます」
「おめでとう! ございます!」
「マジで可愛い……」
夫人っていい響きだな……ジーンとしてしまって、嬉しくなってしまう。輝くんを見ていると、子供が欲しくなってくる。
どのタイミングで子供って作るのかな? そう思って彼を見ると、優しく微笑んでいた。
輝くんの着ているスーツの、胸元のポケットにブーケに入っていたバラを入れていた。そこで僕は気になったことを聞いてみる。
「輝くんって、おいくつですか?」
「今年で五歳です」
五歳か……子供って可愛いよね。完全に癒しというか、無邪気な存在は最高だよね。彼を見ると取引先の人と楽しそうに談笑していた。
まあ、よそゆきの顔してるから心からの笑みではないと思うけど……。僕だけの前だけで、素直に笑っていてくれればそれでいいよ。
そんな感じで立食パーティーは、楽しく終わった。長いようであっという間の、結婚式で僕は満足できた。
式が終わり僕たちは、いち早く帰路についていた。車の中で僕は、彼に自分の素直な気持ちを伝えた。
「あのさ……花楓は、子供欲しくない?」
「欲しいよ。湊との愛の結晶でしょ」
「……よくそんな恥ずかしいセリフ、顔色変えずに言えるよね」
「ふっ、あのさ……湊は、俺にどうして欲しいの」
彼の言っている意味が分からなくて、きょとんとしてしまう。どうして欲しいって、言われても……。
子供が欲しいってだけで……そこで僕は自分がとても恥ずかしいことを、言っていることに気がついた。
子供が欲しいってことは、つまりその……あれをしたいってことを、堂々と言っているってことだもんね。
「あ……あのさ……その」
「ふっ……帰ってからにしよう。車の運転中は、危ないから」
「うん……」
僕が言葉に詰まっていると、赤信号で止まった時にキスをされた。優しく微笑まれて、頭を撫でてくれた。
柑橘系の香りがフワッと香ってきて、急に恥ずかしくなってしまう。もうっ……ズルイよ。
カッコよすぎて、心臓が煩い……僕がそう思っていると、車が動き出して沈黙が訪れた。
何も言わなかったけど、僕の心臓の音が煩かった。彼といると会話がなくても、安心できるから不思議だ。
「湊」
「ん? な……んっ」
いつの間にか、マンションの駐車場に着いていたようだった。いきなり舌を絡ませるキスをしてきて、気持ちよくて彼の腕にしがみついた。
頭と腰を支えてくれていて、彼の体温がダイレクトに伝わってくる。六月とはいえ、もう蒸し暑くなってきている。
今日は気温も高くて暖かいから、暑いはずなのに……彼の体温は、心地よくて気持ちいい。
「俺の紋様が出てきてるな……マジで、エロい」
「んっ……ここじゃ、やだ」
「ふっ……分かってるよ。シートベルト、外して」
僕の舌を触りながら、愛おしそうに見つめてくる。一気に体の力が抜けて、彼の方に倒れ込んでしまう。
シートベルトのせいか、上手く抱きしめられないようだった。彼が直ぐにシートベルトを外してくれて、優しく抱きしめてくれた。
僕たちは当たり前のように、もう一度キスをした。お互いの目を見て微笑み合って、しばらく車の中で抱きしめ合っていた。
「湊、そろそろ帰ろう」
「う、うん……」
僕たちは手を取り合って、僕たちの帰る場所に向かった。玄関に入るなり、いきなりTシャツを脱がされた。
しかもとても爽やかな笑みを浮かべつつ、でも完全に目は獲物を見るようだった。少し怖くて、ゾクリとしてしまう。
「あっ……その、シャワー浴び」
「いいよ……子供欲しいんでしょ」
「……そ、そうだけど……んっ」
前から抱きしめられて、器用に僕の下着のホックを外していく。最初は手こずっていたのに、今では簡単に外せるようになった。
お互いに上半身裸のままで、貪るようなキスをする。腰を支えらえていて、僕は彼の背中にしがみついた。
口を離すと銀色の糸が、見えていやらしい感じだった。首筋にキスをされたり、吸われたりした。
そのまま当たり前かのように、ズボンのベルトに手をかけられた。いつものように器用に、外されていった。
「ま、待って……玄関じゃ、やだ」
「クスッ……そうだね。じゃあ、寝室に行こうか」
「うん……」
彼にお姫様抱っこっされて、寝室に連れて行かれた。ベッドの端に座らせられて、優しくて激しいキスをされた。
しかし直ぐに離されて、何やら怪しく笑っていた。なんかとてつもなく、嫌な予感がする……。
おでこにキスをされて、クローゼットから白色のドレスを出してきた。丈が短くて肩出しタイプで、おへその前ぐらいに大きめのリボンが付いたやつ。
少し前からあったのは、分かっていたけど見て見ぬ振りしてたんだよね。なんかニコニコしてるし、怖いから……。
「花楓……もしかしなくても、それって」
「湊のために、作った特注品だよ」
「……今日着るの」
「ああ、今日着なくていつ着るんだ。これからも、着てほしいけどな」
あー、彼の中で着ること前提なのね……。着たくないって言っても、ウルウルされて折れるんだろうから……。
悪あがきは止めて、大人しく着ることにしよう。僕は立ち上がって、ズボンを脱ぐことにした。
「待って、手伝う」
「自分ででき」
「俺がやりたい」
「分かったよ……もうっ」
ドレスをクローゼットに一旦仕舞って、こっちに来て後ろから抱きしめてきた。嬉しそうに耳元で、囁かれて頷くしかなかった。
もう何でも良いから、早くしてほしい。僕がモジモジしている間に、いつの間にか裸にされていた。
当たり前のように白いというか、ほぼ透明の下着を穿かされた。これ穿く必要性あるのかな……。
「あのさ……ここまでする必要ある?」
「俺が見たいから」
「もうっ……分かったよ」
僕が無理矢理納得すると、ニコニコ笑顔でドレスを取りに行った。もう彼のすることに、ツッコむのは止めようと思う。
かといって何でもかんでも、鵜呑みにするのはよくない。頭では分かっていても、少年のような目をして楽しんでるから……。
彼の思い通りにしてあげたくなる……まあ、目は少年みたいだけど行動は少年じゃないけどね……。
色々と考えているうちに気がつくと、ドレスを着せられていたらしい。
「湊、キツくない?」
「だ、いじょうぶ……」
「この手袋を嵌めて」
渡されたのは白い手袋だったから、素直に嵌めてみる。姿見を見てみると、なんか急激に恥ずかしくなった。
ともだちにシェアしよう!

