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⑦
目を覚ますと、拘束椅子から解放されて少し大きめのベッドで寝転んでいた。
「…ん」
ズキズキと身体中が痛いし、全身だるい。寝ぼけた頭でふと寝返りを打つと、そこには男が隣で眠っていた。顔は向こうを向いているので、後頭部しか見えない。
え?誰?…俺、昨日一体何をしていたんだっけ。
グルグルと思考を巡らせていると、もぞっと男が動き出してうっすらと目を開いてこちらを向いた。
顔を見た瞬間に全てを思い出し、俺は勢いよく起き上がった。
「…っ、いって…」
その瞬間体に重い痛みが走り、俺はまた布団へダイブした。
「ん…おはよう、カイくん」
寝転んだ俺をぎゅっと抱き締める佐伯に鳥肌が立ち、思いっきり押し返した。
「あはは…ごめんね、俺寝起き悪くて。あとでいっぱいちゅーして可愛がってあげるからね」
「うるさい!!とっとと……」
『解放しろ!』と、叫ぼうとしてふと気付く。拘束を外されてパジャマだとは言え服もキチンと着せてもらっている。そして寝ぼけた佐伯。逃げるなら今しかない。
俺は身体中の痛みを我慢してベッドから降り、扉に向かって思いっきり走った。
「……っ!!うぐっっ」
少し離れた出口へ繋がる扉に手をかけようとした瞬間、足からガシャンと音がしてそれ以上前には進めず、思いっきりすっ転んだ。
「んー…起きてすぐ動けるなんて凄いね。でも残念でした、足枷の鍵は別の部屋にあるから逃げれないよ?」
ふわぁ、と背伸びをして呑気に言う佐伯に腹が立ったが、すぐに冷や汗が出てきた。
「……さ、逃げようとしたから今日もたっぷりと可愛がってあげるよ。昨日十分調教したつもりだったけど、たった一日じゃ難しいね。その前にご飯食べよ。扉までは届かない長さだけど、洗面台とかトイレには行けるから好きに使ってね。ここは昨日からカイくんと俺のお部屋だから」
ニコッと昨日と同じ笑顔を向けられると、ダラダラと冷や汗が止まらないが、とりあえず素直に従う事にして洗面台を借りることにした。
顔を洗って案内された椅子に座ると、朝食にトーストを振舞ってくれた。
「カイくんは食べ物何が好き?」
「………」
「カイくん?」
「…俺、朝から結構食べれる方だからご飯派」
「そうなんだ。じゃあ明日からはご飯にするね」
当たり前のように"明日"と使われて嫌な気持ちになったが、お腹は空いていたのでトーストを食べて気まずい部屋の中で暫く二人で過ごす事になった。
「…あのさ、俺にも生活があんだけど」
「知ってるよ。俺の部下達がカイくんのバイト先にはきちんと話し付けに行ってるし問題ないよ」
「……」
こいつらは一体何が目的なんだ。
「何か疑ってるかもしれないけど、俺は本当にカイくんが好きで俺のものにしたいと思ってるんだよ。だから安心して?」
「出来るわけねーだろ犯罪者。誘拐だぞコレ」
「カイくんが俺にメロメロになって両想いになれば同棲に変わるから平気だよ。一生養ってあげるから」
「…チッ」
「そんな細かい事は置いておいてさ、早速昨日の続きと行こうか」
食べ終わった皿を片付けた佐伯は俺に近付いてきた。
足を繋がれて居る状態では逃げることなんて出来ないだろう。俺は抵抗するのをやめてベッドに向かった。
「あ、いい子だね。自分から行ってくれるなんて。でもベッドじゃなくてこっちだよ」
グッと腕を掴まれると、昨日散々弄ばれた拘束椅子に座らされた。
「これ嫌!拘束すんな!」
「ダメだよ。拘束なしで愛するのはまだまだもっと先だよ。さ、脱いで」
「……ベッドじゃないとしたくない!!」
「カイくん。いい子に出来ない?」
「…っ」
昨日の記憶を思い出した俺は、素直に服を脱ぐと、昨日と同じように両手を上げた状態で固定された。
「今回はね、寝転んだ状態で可愛がってあげるよ」
ウィンと拘束椅子が倒されると、大の字のような形で寝かされた。
さっきまで繋がれた足枷は一旦外され、下着ごと脱がされると拘束椅子に改めて繋ぎ止められた。
動けない事と、昨日の事を思い出すと体が疼き出し、顔を背けると佐伯はクスッと笑った。
「昨日アンアン鳴いてたの思い出しちゃった?顔が赤いよ」
佐伯の指がスルリと俺の腹部を一撫ですると、俺はビクッと体が跳ねた。
「わぁ、まだまだ敏感だね」
「…うるさい」
「昨日の復習ね。お臍でイッてみる?」
「んん…っ」
クルクルと腹部を這う指にゾクゾクと体は反応するが、昨日みたいな蕩けるような感覚はない。
そんな俺の反応を見て佐伯も気付いたのか、腹部から脇腹へ指を移動させるとサワサワと優しいタッチでくすぐってきた。
「んんっ、あっ」
「流石にすぐは難しいみたいだね。昨日みたいにたーっぷり感度上げてからお臍でイク復習しようね」
「ひっあっ、ぁっ、…」
「エッチな声。肌を優しく撫でると気持ち良いでしょ」
佐伯の指が全て肌に当てがわれると、ゆっくりと脇腹や腰、脇を往復した。
「ぁぁ…ッッ、んぅ…っ」
ゾワッと鳥肌が立ち、少しでも刺激を紛らわせようと首を振るも、佐伯の指は止まらない。
「あ…っ、あ、」
声がひっきりなしに漏れるが、恥ずかしいと言う気持ちは何故かもうなくて。昨日調教されたことを体が覚えているのか、気持ちとは裏腹にもっと直接的な刺激がほしいと願う様な感覚。
「佐伯さん…っだめ、焦らしちゃ…っ昨日みたいに…イカ、せて下さい…っ」
「え?早くない?」
クスクス笑う顔に苛立つも、少しでも言葉を間違えれば昨日と同じ事が起こるだろう。絶対にそれだけは阻止しようと、揶揄われても素直な自分でいる事に決めた。
「…昨日、佐伯さんが気持ち良くしてくれた、から。体が…っ」
「調教、全く効果がなかったわけじゃなくて良かった。よっぽどあれかな………」
──焦らされるのが嫌なのかな?
耳元でそう指摘されると、ドキッとした。
「…っ」
「朝逃げようとした罰は受けようね?」
クルクルと人差し指で両方の脇を攻められると、ビクッと激しく体が跳ねた。
「やぁっ!くすぐんないで…ッ」
「はいはい」
意外にもパッとすぐ手が離れると、俺はフゥと安堵の溜息を漏らした。
「ねぇ、カイくん」
「何…」
「お臍の次は何処がいい?」
目が合うとニヤニヤとした表情を浮かべている佐伯。
「……分かんない」
俺は思ったままにそう言うと、サワサワと弱い箇所を探るように指を動かしてきた。
「あ…ッ」
下へ降りていく指は足元へ滑り、ふと足の付け根辺りで止まった。
「お臍でイケるってことは素質はあると思うんだ。だから、次はこことかどう?」
サワサワと鼠蹊部をくすぐられると、ビクッと激しく体が跳ねた。
「んな…ッ」
「結構ここ弱い人も多いみたいだよ。カイくん、こちょこちょ~」
「!?…ッ、ンンン…」
「昨日は筆とか耳かきだったから今日は最初から最後まで俺の指で可愛がってあげる」
「……っく、ぅ…ッッ」
コショコショと足の付け根をくすぐられるとビクビク体が跳ねた。
「やぁぁ…っそこ、やだっ…やだ!やだっ」
「気持ち良いでしょ?こうやってさ、ローションとかで滑り良くしたら、完全に性感帯になるよ」
タラリとローションを付けた指がクニクニと足の付け根をマッサージするように動くとガシャンッと激しい音が鳴り響いた。
「ぁぁぁぁッッ…やばい!!ちょっ、んはぁぁぁっ」
「うわー効果ありだねぇ。鼠蹊部ってさ…カイくんの可愛いココも近いし、丁度良いよね。もう勃ってきてるよ?」
「やめ…ッッ、その動きやめろッッ!!」
「んー?マッサージ気持ち良い?」
「ひァァァァ……ッッ」
「へぇ、凄い暴れ方。ローションもいいよね」
「やっ、めろ…っ!!あっ、ァァァア!!」
クニクニと動く刺激にビクビクしていると、ちゅっと自身の先端へキスされた。
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