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穂影くんのよくある一日
「つづいて、表彰。テニス部、藍川!前まで出てこい」
体育教師の声がグラウンドに響き渡る。
爽やかな春の空。
穏やかな日差し。
鳴く小鳥。
…辛い。
基本夜まで、友達と遊んだり、お酒を飲んだりしている僕は低血圧も相まって朝が苦手だ。
体育教師の大きな声が頭に響く。
うぇっぷ。
吐きそう。
完全に二日酔いだ…
早く、終わんないかなぁ。表彰が終われば朝礼終わりだろ…
昨日のせいで、腰が痛いんだから早くしてほしい。
どうやら今日は、テニス部の表彰らしい。
都大会で結構いいところまで行ったみたいだ。
テニス部のエース。藍川が表彰状を受け取ると、全校生徒が拍手を送る。
中には黄色い歓声を上げてる女子までいる。
爽やかスポーツ男子ってのはなんでこうもモテるのかな…
「それじゃぁ、各クラスホームルムにもどれ。解散」
その言葉とともに、ぞろぞろと整列が動き出す。
はぁ…やっと座れる…
のそのそとジンジンする腰を抑えて教室に戻り、ぐったりと席に着く…
女の子たちが「大丈夫?」ってよってきてくれたけど、いまは「ありがとう」って返すだけが精いっぱいだった。
あぁ…机が冷たくてきもちいい…
「どーした、穂影ー。ぶっさいくな顔してー。」
がに股でどんと腕を組みながら座っている、女子。
先崎千春。
僕の幼馴染。
「うるせさい、二日酔いだよ。」
「また昨日も飲んだの?懲りねぇなぁ。どんぐらい飲んだの?」
飽きれたような、顔をする千春。
いや、お前もお酒大好きだろ。
「ビールをジョッキで三杯と、ワインボトル二本。あと日本酒をちょっと。」
「ちゃんぽんなんかするからだよ。翌日ひびくぜぇあれは」
もう完全におっさん同士の会話である。
こんなこと、女子に聞かれたら僕のかわいいイメージが崩れてしまう…
気をつけなきゃ…
「飲みたいお酒のんで何が悪いのさ」
「悪いとは言ってないけどさぁ。で?誰と飲んだの?」
昨日は奏と飲んでいた。そのあとしっぽりいろんなことをした。
東はお酒が飲めないから、飲んでなかったけど。
ホントに、奏って性欲バケモノなんじゃないかな。
東も何回もイかせてたけど、僕も何回もイかせていた。
とくに、僕に関しては、執拗なまでに、前も後ろもいじられた。
「なに?また酔った勢いで誰かとヤったのか?」
朝から下ネタをブッっこんでくるやつを僕は女子だと思いたくない。
まぁ、あってるんだけど。
見透かされてるみたいでなんかムカつく。
もう、千春は男女を超越したなにかだと思っている。
因みに、昔一回だけ酔った勢いでこいつとヤったことがある。
ほんと、若気の至りってやつ。
「ヤったけどさぁ。それ恋人だから。」
「え?だれ?」
「お前にだけは絶対教えない。」
というか、説明がめんどくさい。三人で付き合ってるとか、どう説明すればいいんだよ。
「なんだよ、水臭いなぁ」
そういって、千春は僕の腰を小突いてくる。
「痛っ…」
腰に痛みが走り、思わず声がでる。
「え…?まさか、昨日後ろ使ったの?」
意外、といった表情を浮かべる千春。
まぁ、そりゃそっか。
「なに、僕が後ろ使ったら、だめなわけ?」
「ま、いいけどさぁ。どうせまた、すぐ別れるだろ。」
「そんなことない!」
今回だけは、そんなことあってほしくない……
東も、奏も、すごく…大切だから。
「ほんと、面がかわいいからって、いろんな女、食い散らかしやがって。」
「うるさい…とにかく、僕寝るから話しかけないで。」
「はいはい。おやすみなさい。」
机に突っ伏して、夢の中へ落ちてゆく、あぁ、早く放課後にならないかな。
今日は、部室なにやろう。
三人でゲーム?
それとも、お菓子パーティ?
それとも…またエッチなことかな。
いろんなことを考えながら、意識を飛ばした。
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