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長い一日を終えて 2

「何吸ってんのー?」 喫煙者としては奏がどんな煙草を吸ってるか気になったりする。 黒い箱しか見えなかったからよくわからなかったけど、僕の吸ってるKOOLは緑色なので同じ奴ではないのは確かだ 煙草は人によって味の好みがある。 いろんなフレーバーが入っていて、香りも違うし、味もあまいものやらなんやらいろいろある。 「マルボロアイスブラスト5ミリ」 5ミリというのはタールの量だ。 1ミリから始まり、多いものでは13ミリ入っているものもある。 タールの量が多いほど、煙草の味が強くなる。 「あれー?煙いの嫌いなんじゃなかったけ」 わざと意地悪を言ってみる。 まぁ、実際あれだけ煙を嫌っていた奏が吸始めたんだ。 気になるところではある。 「ハマった」 奏は不愛想に一言だけ、返す。 ホントにこいつ僕の恋人なの? 「へー。いがーい。ねぇ、一本ちょうだーい。」 「ん?いーよ。」 僕はアイスブラストは吸ったことがなかったから味見した方というのもあるけど、何より、恋人がどんなものを吸っているのかが気になった。 低いテーブルに置かれた箱を拾い、一本取り出し、口にくわえる。 「火付けてやろーか?」 奏が机のライターを取ろうとするが、その手を制する。 「んー?いらなーい。奏からもらうから。」 「あ?」 奏の手をソファに押さえつけてゆっくりと顔を近づける。 燃えている奏の煙草とまだ火のついていない僕の煙草が絡み合う。 「……んっ」 暫く、絡み合わせてようやく僕の煙草に火が移る。 メンソールを噛むのと同時に、辛めの煙草の味と、強いメンソールの味が染みてくる 「んっ……はぁ……」 ゆっくりと天に向かって煙を吐く。 「俺のタバコから直接火もらう事ないだろ」 飽きれた口調で、奏が言う。 「えー?いーじゃん。キスみたいでさー。」 昔見た映画で、こんなシーンをやっていてこんなことをやっていて、これをやるのが憧れだった。 その映画では、南の方の国の綺麗な場所を走りながら、パトカーの中で男女が二人、キスをするよう煙草に火をつけるというものだった。 「ったく。」 「えへへ〜。んー。これもおいしーねぇ。変えようかなぁ、これに。」 アイスブラストは僕の吸っているモノより辛口で、メンソールも強く爽快感ががすごかった。 「そんな美味いか?」 「だって、お揃いってなんかいーじゃん?」 おいしいことよりも何よりも、奏と同じものを吸っているという満足感のほうがすごかった。 一緒のモノを吸って、お互いが一緒だと感じだい。 気持ちも、身体も、煙草も、何もかも。 「……たっく。本当お前は」 奏はいつもの口調でそういった。 だけど、顔はいつもと違って穏やかだった。 奏は手を僕の頭の上に乗せ、まるで親戚の子供にかまうようにぐしゃぐしゃとかき回した。 「あー!頭撫で回すなよーセットしてんだからー。」 僕の髪の毛はくせっ毛だから、セットするのに時間がかかる。 ヘアアイロンやらなんやら、低血圧で、二日酔い気味の今日も何とかセットしてきたというのに。 美容院にも頻繁に行かなきゃいけないし、色々と手入れが大変だ。 「うわー。本当だ。スプレーでガチガチだな。」 奏は、僕の束になった髪の毛を掴み不思議そうに言う。 「そーだよー。髪の毛ちゃんとセットしてないとモテないよー。」 奏はブリーチこそ綺麗にしているもの、忙しい時は寝ぐせのまま登校て来たりする。 せっかくかっこいい顔してるのに、色々ともったいない。 「はいはい。」 奏はめんどくさそうに、ぽんぽんと僕の頭を叩いて、手を離した。 もう少しなでてくれてもよかったのに…

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