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エピソード18−②

 七星の表情が変わっていく。 (この表情は……よい意味だと思っていい……?)  そう思っていると。 「いっくんと二人が嫌なわけないよ!」 (めっちゃ食い気味!)  何故か顔まで赤くなっていた。 「良かった……」  俺は心底ほっとして思わず声を漏らしてしまった。 (今日の俺、ほんと、かっこ悪)  それでも二人で過ごすことを了承され俺は内心テンションが上がった。  上がり過ぎて、つい。 「行こ」  七星の手を握って引いてしまっていた。  自分でしたことに気づいて心臓が跳ね上がる。 (あわわわ。俺手なんか握っちゃって、子どもじゃあるまいし、DKが手繋ぎ合っちゃおかしいだろう)  俺は慌てて手を離した。  手を握ったといっても指先を軽く握っただけという、七星に対しては行動が気弱なのが自分でも笑える。  俺たちは前にこの水族館に来た時以上に近づきながら一頻り館内を巡った。昼を過ぎて腹が減ると、イルカショーを見ながら昼飯を食べることにして、俺たちは売店に向かった。  俺はここに来たらしたかったことの一つを実行することにした。  昼飯を買った後七星を待たせて土産物コーナーにのほうに行く。あるものを目にすると俺はそれを手にした。 (やっぱり、そうだ)  昨年の俺の誕生日。俺は七星を遠ざけていた。そんな俺にそっと玄関のノブにかけられていたプレゼント、それがこの海月のチャームだ。  恐らくこの水族館で買ってくれたものだろうと、目星をつけていた。  俺はそれを買うと七星の目の前に揺らした。 「ここでプレゼント買いたくて、一人で来たんだ。いっくんと一緒に回ったことを思い出しながら」  それを見ながらが七星は言った。 (ナナ……一人でここに来て選んでくれたんだな……あの時のことを思い出しながら)  そう思うとじんわり心が温かくなってくる。  俺たちは見つめて合った。 (ん?)  俺たちの間で海月がゆらゆら揺れている。しかし七星は手を出そうとはしない。  俺は痺れを切らした。 「早く受け取って。イルカショー始まっちまう」 「え? 僕に?」  すっとぼけたことを言うので。 「なんだと思ってたんだ?」  一瞬何かを考えているようだったが、じわっと笑嬉しそうな顔に変わってくる。 「ありがとう、いっくん」  大事そうに受け取ってくれて、本当に嬉しいと思ってくれているんだと感じた。  ほっとして。  また一言余計なことを言ってしまった。 「これでお揃いだな」 (ナナじゃなくて俺がこれを言うのは小っ恥ずかしいだろ〜おい〜)  と自分を叱咤する。 「お揃いいいの?」  嬉しそうに、それでも何処か恐る恐るという感じで上目遣いに言うのは以前『お揃い』を突っぱねたからだろうか。 「いいよ」  そんな七星が可愛すぎて、俺は照れ隠しに七星の頭を軽くくしゃとした。   

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