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 数年経っても相変わらず裕貴は俺に甘い言葉を囁やき続け、むしろ年々濃度が増している気しかしない。  ぎゅっと近付いてくると、裕貴の温もりが背中を包み込む。同時に、異物感を与えるものもあった。 「あのさ……」 「なーに?」 「今何時?」 「僕の愛に時間は関係ないよ」  話が通じる気配がない。いつものことではあるが、俺は思わず溜め息を漏らしてしまった。 「あっ、やなの?」 「違う。裕貴が元気なのが羨ましいだけだ」 「まーちゃんだからだよ」 「俺もう四捨五入したら四十だよ、おっさんだよ。裕貴みたいな体力ないから……」  裕貴に求められることが嫌ではないが、体力が全く追いつかないせいで最近は少々しんどい。申し訳なさが徐々に積み上がっているので休日は可能な限り一緒に過ごすようにはしているが、もしかしたら悪循環というやつかもしれない。

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