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第18話 DJ

 DJはいろんな機材が必要なんだろう。ターンテーブルが二つ並んだみたいなやつとか、コントローラーっていうのが欲しいと思った。  なんとか中学を卒業して、機械が好きだったから、地元の底辺の工業高校に入った。  そこにも地元で固まってるヤンキー集団がいて続かなかった。ヤンキーってのは一人じゃ何も出来ないくせにすぐに仲間と固まる恥ずかしい奴らだ。高校もすぐに辞めてしまった。  タイジの住んでる家はばあちゃんの家だった。母親の母だ。じいちゃんはもうだいぶ前に亡くなって、ばあちゃんは一人暮らしだった。  そこへ母が離婚して、タイジと妹と3人で転がり込んだ。母親は隣町の病院で看護婦をしている。  それから犬を飼っている。大角っていう大きな犬だ。タイジに懐いている。ボディガードのように付いて来るのでちょっと安心だ。  ばあちゃんは17才のとき、結婚したらしい。じいちゃんは12才年上で、当時テレビドラマで「奥様は18才」というのが流行っていたんでずいぶんからかわれたらしい。  だから、ばあちゃんと言っても気が若い。タイジたちが一緒に住むことをすごく喜んでくれた。 「離婚は不幸な事ではないんだよ。 不幸なのはそこに至る過程だ。  だから離婚は新しい門出。 やっと自由になれなんだからめでたいさ。」  テレビでラップバトルの録画を見ていたら、ばあちゃんがやってきた。 「タイジ、これなあに?なんかカッコいいね。 あたしも若い頃はソウルミュージックが好きで毎晩ディスコに通ったもんだよ。  ずっとブラックミュージックが好きだから。 ヒップホップもいいね。」 ばあちゃんは東京育ちだったな。 「遊び人だったんだろ。」 「その通り。アタシはミニスカート穿いてたんだよ。信じられる?」 「うわー、その頃の写真とか見たいな。」 「あったかなぁ。見たら惚れちゃうよ。 アタシはジャズも好きだけど、その頃はソウルばっかり。高校生の頃だ。  レイ・チャールズやサム・クック。 あとジェームス・ブラウンとかマービン・ゲイ。 ディスコではモータウンばかりかかってた。  スタイリスティックスやスライ&ファミリーストーン、シュープリームス、スリーディグリーズ、またまたたくさんあるよ。」 「わかった、わかった。 モータウンならヒップホップのスタンダードだって。サザンホップ、とか。」  音楽の話が止まらない。

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