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第41話 メイ先生に出会う

 その日、神社の裏手で琥珀はメイに出会った。 何年ぶりだろう。  この頃は、もしかしたら会えるかも、と思う気持ちでいつもここに足が向く。何かに導かれるように。 「やあ、久しぶりだね。僕を覚えているかい?」 「はい、先生。学校では、私、って言ってたのに 今は、僕、ですか。」 何だかつまらない事を聞いてしまった。 「学校では威厳を保つために、私、プライベートでは、僕、だね。」  先生はあの時のようにそばに来て、いきなり手首を掴んだ。  包帯を取り、傷に口付ける。 「ああ、また傷が増えている。君は不幸なのか。 可哀想に。」  手首を強く掴まれて琥珀は思った。 (俺は、これを待ってたんだ。)  膝から力が抜けていくようだ。抗えない。強い力で蹂躙される?  これが琥珀の求めていた事なのか。 手首を掴まれて、乱暴に、なんと抱きしめられてしまった。  混乱していた。いつも心の中で恐れていた事。思い出したくない嫌な人、それがメイ先生だったのに、今は嫌な気持ちにならなくて、嬉しいのだ。待っていたみたいに。    メイは人の気持ちなど考えない人間だったはずだ。ただ、激情に駆られて男を抱く。  それでもメイは美しい。みんながメイに魅入られる。今まで何とか隠して来たその性癖。  メイは誰も愛さない、はずだった。 「久しぶりに会ったのに、キミを待ってたような気がするんだ。」  琥珀はメイの言葉に、自分も同じだ、と思った。でも怖い。 「僕の家においで。キミと愛し合いたい。 愛し合うってわかるかい? キミの気持ちが高まったら、来るといい。 僕は無理強いはしないよ。でも待ってる。」 「先生、俺をからかってるのか?」 (でも今は中学の時みたいに、気持ち悪いなんて思わなかった。ドキドキしてる。 愛し合うって何だ?男なのに。)  自分がわからない。先生はいい匂いがする。 大人の男の人の匂い? 「待ってるよ。」  そう言ってキスしてくれた。 初めは小鳥みたいな触れる感じのキス。そしてもう一回、もう一回、今度は、舌が入ってきて強烈なディープキスをされた。  琥珀は心を絡め取られた。

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