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第46話 わかってしまう

 隠してもみんなにわかってしまう。 神社に行くと社務所にサイコがいた。ジョー先輩もナナオも鉄平もいた。 「琥珀、恋人が出来た?」  サイコの言葉に、ジョー先輩の顔を見た。先輩は首を振る。噂話をするような人じゃない。  琥珀は自分の態度から何かがわかってしまうのだ、と気付いた。  サイコが鋭く突っ込んでくる。 「この前の琥珀の話、昔のメイ先生の事、聞いた時からだよ。琥珀が何か、幸せオーラ出し始めたの。」 「えっ?恋人ってメイ先生の事? だって、先生は男だよ。」 ナナオがビックリしている。 「意外とみんな保守的だね。 いいじゃん、男同士だって。」 「だから、メイ先生は独身なのか?」 「保護者会でいつも先生の結婚の話が出てたって、おふくろが言ってたな。 世話好きな人が多い。」 鉄平も思い出した。 「メイ先生の事は、そう考えるとしっくり来るな。でも琥珀も?」  みんなが喧しい。琥珀は真っ赤になって 「俺で、遊ぶな!」  ジョー先輩が 「俺はゲイだから、琥珀の味方だよ。 可愛いなぁ、琥珀。」  突然のカミングアウトにみんなが大騒ぎだ。 「ジョー先輩、恋人とかいるの?」 「ああ、入院してた時、出会ったんだ。 病院の庭とか散歩して、気が合ったんだ。」 「すごーい!ジョーさん恋人がいたんだね。」 琥珀は安心した。 (それで、ハグを嫌がらなかったんだ。 気持ちをわかってくれてたんだ。) 「それで、どこまで行ったんだ?」  みんなが知りたいのはそこだろう。 ゲイのセックスってみんな、興味津々なのか。  ジョー先輩は 「俺たちはまだ、そこまで行ってない。 今度のラップバトルに連れてくるよ。」 と言った。 「琥珀はメイ先生にもう食べられちゃった?」 サイコに身も蓋もない聞き方をされて真っ赤になってしまった。 「まだ、最後までは出来てないよ。 そんな事聞くなよ。」 「メイ先生ってベテランっぽいよね。」 「上手そう。」 「なにが、だよ。」  鉄平とナナオが 「俺たち、なんか浮いた話がないなぁ。」  琥珀は意外な、みんなのこだわりの無い反応に救われた。みんなリア充になりたい年頃だ。

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