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第50話 メイ先生
琥珀は車から降りて来るメイ先生を見つけた。
神社の駐車スペースに愛車の、ハコスカR、を停めて降りて来る先生を見つけた。
今日はスーツを着ている。いつ見てもカッコいい。琥珀は今日はアニメの中の花嫁のコスプレ。
白い衣装が可愛い。
「先生、会いに来ちゃった。」
「いよいよ、僕のお嫁さんになってくれるのかい?」
真っ赤になった琥珀をハグしてくれた。
「先生、どこかに出かけてた?」
「ああ、大学時代の友人が隣の県にいるんだよ。
会いに行ってきたんだ。」
「先生の大学って?」
「ロスアンゼルスだよ。U◯◯A。
オショーと僕の父が行った大学だ。僕も同じ所に行ったんだ。」
「その友達も外国の人?」
「うん、イギリス人とのハーフだよ。
日本の大学で物理学を研究している。
可愛い嫁さんと暮らしているよ。」
琥珀を抱き寄せて、耳元で
「その嫁さんは男なんだ。
でも、愛し合ってるから周りも認めてる。
琥珀にも参考になるかな。」
琥珀は複雑な気持ちになった。
それにしてもスーツ姿の先生は素敵だ。見惚れてしまう。
「何で今日は花嫁衣装みたいなのを着てるんだ?」
「うん、覚悟の印。先生に謝ろうと思って。」
もう、ずいぶん我慢した。
「先生に会いたくて会いたくて、バカみたいだ、俺。」
「可愛い奴だな。僕も会いたかったよ。」
スラッと背の高い五月雨はスーツを着て一部の隙もない男っぽさを醸し出している。琥珀はめまいがしそうだ。
家に入って抱きしめられた。
「今日は泊まっていけるのか?
琥珀を抱いていいの?」
真っ赤になって頷く。
「お化粧もしてるんだね、美人だ。」
とうとう決心がついた。今までのレッスンが今夜ついに実行される。
女の子みたいで恥ずかしい。まさに二人だけの秘密だ。もう、怖くない。イヤじゃない。
「メイ先生は素敵だ。なんで今日はスーツを着てるの?俺、心配だ。大学の友達って、先生の恋人だったの?」
「いや、僕とロジャーはそう言う関係じゃなかった。僕の片思いだったよ。琥珀に会うまでは。」
すごく気になる。でもメイ先生の魅力が増したような気がする。
二人きり、と言われるより、いい。
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