59 / 86
第59話 ジョーとサブ
「今度のラップバトルに遊びに来いよ。」
ジョーの誘いにサブはやって来た。本の虫だが今日は読書はお休みだ。
サブはしっかりとジョーの手を握っている。不安そうだ。ジョーも少し恥ずかしそうだ。
ラッパー仲間はこの前のカミングアウトで、サブがジョーの恋人だと知っている。
「ジョー先輩、紹介してよ。」
恥ずかしそうにジョーは三郎を紹介した。
「みんな、彼は山田三郎。俺の彼氏。変か?」
「初めまして、サブって呼んでください。
本を読むのが好きです。時々SNSで星の事を発信してます。」
手を繋いだ二人にみんな大騒ぎだ。
琥珀も羨ましくなった。
(こんな風にみんなに明るく紹介出来たらいいのに。)
ジョーは退院してからグッとサブとの距離が縮まった気がする。
意外と家が近くだったので、待ち合わせて犬の散歩をしている。
「サブも犬がいるんだね。」
今日は小次郎を連れている。
「みんな犬好きで良かった。」
「それはもちろん。八犬士だもんね。」
ナナオがうっかり口を滑らせた。
「ダメだよ。知らない人に言っても混乱するよ。」
サブはピンときた。何しろ八房に出会ってから大急ぎで里見八犬伝を読んだのだ。
「みんなが八犬士なの?」
「それは内緒。」
笑って誤魔化された。実はみんなわかってないのだ。
ジョーはサブの肩を抱いて耳元で
「大丈夫。みんな知ってるよ、犬が言葉を話す事。八房の事もね。」
「なんでみんな、すんなりと納得するんだよ。
変だろ?」
ジョーがギュッと手を握ってくれた。
みんなこの所、盛り上がって来た白浜ベースの構想で話題が持ちきりなのだった。
どこにいたのか犬が集まって来た。なんと自己紹介している。
「小文吾。イタリアングレイハウンド。」
ナナオの犬だ。
「荘助、大角、兄弟だ。ジョーさんとタイジの犬。」
ザワザワと集まって来た犬たち。琥珀が連れているのはケノとシノ。シノは神社の犬だ。
「あとは、シンベヱと源八と道節くんだね。」
鉄平とサトウとサイコの犬だ。
「サブの犬は小次郎だよ。」
ジョー先輩が紹介した。
犬たちは仲良く匂いを嗅ぎ回っている。
「ジョーとサブのカップルを認めたんだね。
犬はこだわりがないなぁ。」
ともだちにシェアしよう!