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第78話 メイと琥珀

 五月雨がゲイで男と付き合っている事は、すぐに知れ渡るだろう。五月雨は隠す気がない。教師も続けられなくなるかもしれない。 (愛する事を隠したくない。 世界中に大声で叫びたい。)  いつまで他人の目を気にして生きるのか。 「おはよう、琥珀よく眠れたかい?」 眠そうな目をこすりながら 「メイが寝かせてくれないんだ。 まだ、眠りたい。」  抱き寄せられて熱いくちづけをもらう。もう、キスに夢中になって舌を絡める琥珀が可愛い。  五月雨が朝食を用意してくれる。オレンジジュースに口を付けて、ちょうどよく焼けたトーストを齧る。ベーコンエッグのいい匂い。 「何かける?お醤油でいいか?」 「うん、トーストに乗せて食べる。」 簡単なコーンスープもある。五月雨は一人暮らしが長いのだ。隣に母が住んでいても、生活はノータッチだ。たから家事の手際がいい。 「俺、一人暮らししてみたいな。」 「僕はいらないのかい?」 「何でも出来るようになりたい。」 大きな手で頭を撫でられる。  学校に行く準備をしている。シャツを着てネクタイを結ぶ。スーツ姿が素敵だ。  見惚れていると抱き寄せてキスしてくれる。 「琥珀は『無頼庵』に行くのか? 車だから送って行くよ。」 「寂しいな、離れるの。」 「僕もだよ。終わったら迎えに行くよ。」 「なんか新婚夫婦みたいだね。」 「本当にそうだよ。僕の嫁だろ。 誘惑されるなよ。琥珀は可愛いから。  女装禁止、だな。心配だ。」  コスプレショップも少しずつ認知されて、遠くから来てくれるファンも少なくない。 「この頃、アニメのキャラクター、露出が多くなって、着てみたいのに気が引ける。」 こうちゃんとフレディが話している。 「一つ作ってみたんだ。スクールガール風。 スカートが短すぎるかな。」  奥の部屋で着替えて来た琥珀を見てみんな大喜びだ。 「可愛いじゃん。お尻がはみ出してる。Tバックなんだね。」 「いつも私たちがデモンストレーションで着るのも無理になってきたね。」 「他の人に来てもらえばいいよ。」 「撮影出来る場所をたくさん作ってプロデュースする仕事にシフトして行こう。」 サイコが言った。 「誰かに着てもらいたいよね。」

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