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第99話 Wonderful Tonight
五月雨は思った。
(僕はもう屈折した考え方を改めようと思う。素直に生きたい。)
こんな気持ちにさせるのは、腕の中の琥珀。この手を離さない。
女々しいって思うかい?
この年まで生きて来て、いつも斜めから世の中を眺めて来た。僕は普通じゃない。何故か自覚がある。なんとなくだが母の事もわかって来た。
母の秘密。別に隠してないけど、声を大にして語る事ではないようだ。
僕の母は死なない。初めは衝撃だった。年齢も定かではない。それ以来いつも考えるのは生命の事。少しわかったような、いや、まだ全然わかっていない。
本当は知りたくはない。僕も死なないのか。
いつか僕をこの世に置き去りにして琥珀は先に死ぬのか?考えるのはやめよう。その先にあるのは絶望。
「琥珀、こっち向いて。髪を乾かしてあげる。
愛し合って一緒に風呂に入って、その全てが愛おしい。
「あんまり、ジロジロ見るなよ。恥ずかしいよ。
メイみたいに完璧な身体、してないから。
メイ、綺麗だ。」
「琥珀の方が綺麗なのに。」
その肩にくちづける。綺麗な鎖骨。
「おいで。」
胸に抱き込む。すっぽりと腕の中。切ない琥珀の身体。その骨の形が好きだ。舌を這わせる。
「くすぐったいよ、メイ大好き。」
そんな事、簡単に言うんじゃない。大好きが薄まってしまう。
今夜は特別。今夜も特別。
ワンダフルトゥナイト。
「ふぅ、メイのキスはクラクラする。」
キスが下に下がっていき、秘密が暴かれる。それを待っている。ローションの力を借りて。
「待ちきれないって顔、するなよ。」
いつも慣れる事はない。ドキドキしている琥珀の心臓。その胸のボタンを探している。
「可愛い。吸って欲しいって?ここがいいの?」
「メイ、そこばっかり。赤くなっちゃう。」
「女の子みたいだ。」
「やだ、こんな貧乳。ダメでしょ。」
「好きだよ、全部。」
メイの慣れた手つきが身体を開いていく。琥珀が手を伸ばしてメイの硬くなったものを掴む。
「凄い、大きくなってる。俺に欲情する?」
「もちろんだ。琥珀は最高に煽るな。
僕を欲しがって。」
二人抱き合って兜合わせに一緒にメイが握る。
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