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第103話 図書館カフェ 2

 ラジニーシは後にアメリカでコミューンを作り それは賛同する若者たちによってアメリカの田舎町を震撼させる巨大な組織になった。  ヒッピーのような若者が集まり、危険な組織と思われてアメリカを追われている。  日本でも、上辺だけを模倣した組織が、ラジニーシの思想からは程遠い、逸脱した行為に走り最悪の犯罪を起こした事は記憶に新しい。  オショーは世界の一部を見て回った時、既成宗教にはなんの感慨も持たなかった。  たまたま自分は神職を継いだが、それを否定するわけでなく、しかも仏教やキリスト教イスラム教その他多くの世界に存在する宗教を、感覚的には受け入れていた。  神仏習合の考え方は日本独自のものかもしれない。その大らかさが素晴らしいと思うのだが。  残念な事に世界の宗教のほとんどは排他的だ。 他の宗教を否定するものばかりだ。  「神」という概念は人間が作り出したものだ。 そして世界中に「神」がいる。言葉は違っても、信仰する心は尊い。  それなのに古来、戦争というものは、宗教的対立から起こる。宗教は人々を救えないのか。  オショーはこの疑問を生涯抱えて生きて行くのだろう、と思っている。  答えなど簡単には見つからないが。  そんな話を三郎は目を輝かせて聞いていた。 「ジョーから、君はたくさんの本を読んでいると、聞いたよ。  図書館に興味はないかい?」 「えっ、ええ、すごく興味があります。 でも、僕、司書の資格もないし、ダメですよね。」 「いや、この頃の、何でも資格だ、学歴だ、という風潮で、必要な人材が埋もれているよ。  私は解放区を作りたいんだ。 資格を持つ人は行政で募ってもらおう。  三郎が主体となってやってみないか?」  サブは驚いている。初めて会ったオショーからこんな踏み込んだ話をもらったのだ。 「ジョーはカフェの仕事なんかどうかな。 エプロン似合いそうだ。」 「やった事ないですよ。でも、サブと一緒に働くのは楽しそうだ。」  乗り気になっている。 「私は何より、偏った考えを持たないことにしている。誰にも変な思想を吹き込むつもりはないんだ。  図書館といっても自由な感覚で本を揃えてもらいたい。  今の出版不況を誰よりも嘆いているんだよ。」  近頃、東京あたりに増えて来たヴィ◯バンのような面白い本屋を目指したい。  官民でやろうとしているので中々厳しいのだが。市の税金を投入させるのは至難の業だ。  紐付きは、縛りができてしまう。スポンサーが見つかるといいのだが。 「クラファンとか?」

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