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第106話 下◯沢
この前は電車で疲れたので、今度は誰かに車を出してもらう事になった。頭に浮かんだのはメイ先生。スカGに乗っている。
神社の離れに訪ねて行った。
「先生の運転で下◯沢まで行って欲しいんです。
俺とサブと案内役のサイコ。」
五月雨は車の運転が好きだから、喜んで承諾した。
「琥珀も一緒でもいいかい?
5人乗りだから、ちょっと重たいけど、行けると思う。」
「ありがとうございます。
みんなでドライブもいいですね。」
図書館カフェの準備のため、とはいえみんな楽しそうだった。
五月雨の運転は快適だった。上手いのだろう。
通い慣れた場所だった。ハッテン場があるのだ。
行きつけのゲイバーがある。気楽に引き受けたが・・。
今日の目的はカフェ巡りだ。参考になりそうなカフェに入ってみる。
ここは森をイメージしているのか、木製の家具とインテリアで、店内は落ち着いた植木が席を仕切っている。柔らかく、視線を遮るように席が作られている。
奥の個室っぽく仕切られたテーブル席に着く。
座ると周りからの視線を感じられない落ち着く席だ。個室のようだ。
メニューはコーヒーが主体のようで、近頃流行りの甘ったるいカフェメニューばかりだ。
「何が人気ですか?」
サブが悪びれず聞いている。
「やっぱり、カフェラテ、とかカフェモカとか、ですね。アイスクリームを入れるアフォガードも人気です。」
それでみんなは、アイスクリームに熱々のカフェモカを注いだアフォガードを注文した。五月雨以外。
五月雨はエスプレッソにした。苦くて濃い珈琲が好きなのだ。
大きなカップに盛り付けられたアイスクリームに香り高い珈琲がかけられたアフォガードが運ばれて来た。
「すごい、大きいカップ。」
サブが恐る恐るスプーンを差し込んで食べた。
「甘く無い。上は泡ばかりだ。」
「俺たち田舎者丸出しだなぁ。」
「あ、下の方は甘い。それに温かい珈琲だ。
不思議!」
苦いエスプレッソを飲みながら、五月雨が笑っている。琥珀がアイスクリームを乗せたスプーンをいきなり五月雨の口に入れた。
「はい、アーンして。」
「うん、甘いな。琥珀のキスみたいだ。」
サイコが
「はい、イチャイチャしない!」
イケメンの集団に店の人も客も見惚れている。
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