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第109話 ジョーと五月雨
ジョーと五月雨は、この前、粟生を追いかけて来たチンピラと殴り合いの喧嘩をした。ジョーと五月雨の圧勝だったが。
あの時は、トオルと翔とハヤシの3人で、琥珀とサブをホモだと揶揄ったからだったが、今日は人数が多い。ケンカ慣れした半グレたちだ。
「この町じゃ、頭数を当てにするんだな、ダサいな。」
「M子ママが生きてたら嘆くんじゃない?」
サイコが言う。
「サイコ、相変わらずいい女だな。気が強くてよ。」
「ヒロシ、止めろ。」
ボスっぽい奴が近寄って来た。
「不穏な空気で悪かったな。
ここはゲイが多いんだ。あんた、ハッテン場で有名なんだよ。ミカドが探し回ってたんだ。」
「兄貴、挨拶はいらねぇよ。
コイツらがケンカ売ってきたんだ。」
「売った覚えはないけどな。
おまえたちはホモが嫌いなんだな。」
「悪かった。そんなつもりはなかった。
ホモ嫌いじゃねえよ。仲間にもたくさんいる。
ここは解放区だ。
『再会』のママにも世話になってる。」
ボスっぽい奴が言った。
ミカドと名乗った男娼が
「メイ、名前しか知らない。
でも、逢いたかった。待っていたのよ。
荒っぽい出会いでごめんね。」
もう少しでケンカになりそうだったが、兄貴と呼ばれた男が下手に出て挨拶した。
「この辺りのもめ事を仕切る
キングクラッシャーの亮だ。
スジ者とは一線を画す。
俺たちは元々ラッパーなんだよ。」
亮はさすがに落ち着いている。
「恥ずかしいな、酒でも飲んで話そうぜ。
一杯奢らせてくれよ。」
M子の店に入り直す。
「あら、お話は終わったの?
救急車呼ばなくて良かった?」
「マスター大丈夫。和平だよ、和平。」
「俺たち車なんだ。遠いからもう帰らなくちゃいけない。ウチの方にも遊びに来てくれよ。
九十九里、白浜ベースだ。」
ジョーが説明した。
ミカドが五月雨の腕を取って離さない。
琥珀は気が気じゃない。
「また、逢えるよね。メイ。」
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