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第113話 白浜ベース

 白浜ベースも着々と出来上がりつつある。資金面で難色を示していた行政も、スポンサーがついた事で態度を和らげた。スポンサーは、地元を愛する地主たちだ。年寄りたちが動いた。  オータの漫画がバズり始めたのだ。話題になれば白浜ベースの名前も有名になる。  かなりの観光収入が見込まれる、と市側が協力的になって来た。実際、無頼庵、のコスプレ撮影の依頼が増えている。まだ、聖地とまでは行かないが。  図書館カフェも建物が出来た。3階建ての結構大きな箱だ。今まで箱物が無かったから、期待は大きい。  全国から色々な人が来訪するようになった。  あの下◯沢のDQNたちもやって来た。改造車とバイクで賑やかに登場だ。   一番に目に付くコスプレショップ、無頼庵、に仲間を引き連れてあのヒロシと亮が入って来た。 「こんにちは。あの、琥珀君はいますか?」 奥から琥珀が出て来た。今日はヒラヒラした妖精のようなドレスに金髪の髪を緩く結んで、フランス人形のようだ。 「あ、下◯沢の人たち。」 「ああ、良かった。会えて良かった。 メイには携帯に連絡したんだ。さっきね。」 亮が言った。ヒロシも 「俺たち、どんな所か見に来たんだ。 カッコいいな、白浜ベース。海がいい。」 「ジョー先輩はサブと図書館カフェにいるよ。 本はまだだけど、カフェは営業してるから。」  琥珀とサイコでカフェに案内した。 スキンヘッドの頭から、全身トライバル柄のタトゥーだらけのヒロシが人目を引く。  クルマは海側の駐車場に停めて来たから、みんなでゾロゾロ歩いて行く。  カフェを任されているのは、ジョーとサブだった。少し遅れて五月雨がやって来た。琥珀の肩を抱き、頬にキスした。フランスでは男同士だって女同士だって、友達とだって交わす普通の挨拶だが。 「遠い所によく来てくれたね。」 サブが 「上の階のテラスがおすすめだよ。 海が一望なんだ。」  テラス席は落ち着くソファがたくさん並んでいるオープンエアな場所だ。ヒロシが 「カッコいいな、こんど彼女連れてこよう。」 「ヒロシ、彼女なんかいんの?」 「これからナンパすんだよ。」

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