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第122話 サブとジョー
父親はジョーが落ち着いているので、今まで見逃してくれていたが、男同士仲良くしているのをよく思っていなかった。
母親はサブに感謝している。人間らしくなったのはサブのおかげだと思っていた。
「佳ちゃんの事、思っていてくれたのね。
嬉しいわ。会いに行きましょう。」
父は
「恥の上塗りだ。
おまえには外にも出て欲しくないのに。」
「あなたはそんな風に息子を見てたの?
サブちゃんはいい子よ。家族になりたいわ。
佳ちゃんが望めば、帰って来てもらいたい。」
母親の嬉しそうな顔にホッとした。
「佳が嫌がるならオレが家を出るよ。
サブと一緒に暮らす。仕事も始めたし、ね。」
ジョーはそう宣言した。
図書館カフェには両親とも大喜びだった。
「犬塚神社の宮司様に足向けて寝られないわ。」
サブも親は喜んでいる。本が好きなサブが本に関わる仕事を見つけたのだ。
ジョーの事も理解してくれている。二人は周りから認められている、と勘違いしていた。
「精神障害者、なんだよ。世間から見たら。
健常者じゃないんだよ。」
冷たく言い放つジョーの父。
「健常者の反対は異常者ですよ。
ジョーは異常者じゃありません。
ジョーと僕は、異常者じゃない!」
サブはジョーの父に食ってかかった。
「屁理屈を言うな!」
頭の硬い昭和の父親の典型だった。
「俺はもう27才だよ。大人だよ。」
「おまえは一般常識がないだろ。
佳は大学生だ。悪い影響を与えるな!」
今まで何とかゴマ化して来た事が一気に噴き出した感がある。
二人はオショーに相談する事にした。
白浜ベースを解放区にしよう、といつも言っている。白浜ベースには『無頼庵』がある。
ゲイのフレディも働いている。ジェンダーレスな空間だ。
ジョーの両親がオショーに会いに来た。サブの母も呼ばれた。
図書館カフェで待ち合わせた。
サブとジョーがテキパキと飲み物を用意している。
「素敵な所ね。まあ、ジョーが珈琲淹れてる。」
母は感激している。
「初めまして。三郎の母でございます。」
「ああ、初めまして。譲治の父親です。こっちは母親です。」
ぎこちない邂逅だった。
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