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第124話 ミカド

 また、下◯沢のDQNたちがやって来た。今回はあのミカドを連れて来た。  白浜ベースにはオショーが来ていた。シノを連れている。神社の犬。芝犬だ。 「よしよし、おいで。」 亮がシノをかまっている。 「俺、芝犬大好きなんだ。」 シノもしっぽを振りまくって喜んでいる。 「亮、懐かれてんな。」 「うん、可愛い。犬はいいなぁ。」  犬と一緒に『無頼庵』に入って来た。 (あああ、また来た。) 琥珀はイヤな気持ちになった。 「こんにちは。 俺、写真撮ってもらいたいんで。」  サイコが 「撮影担当はあたし。どこで撮る?海?衣装は? 少しならここにもあるけど。」 「俺、琥珀と撮りたい。いいかな?」 「ダメに決まってるでしょ。」  最年少16才のこうちゃんが 「王子様とお姫様なら衣装あるよ。」 「やめて。五月雨に叱られる。」  綺麗な顔をこちらに向けて笑ってる亮。 (すごい、イケてる。亮って。 メイとはまた違ったイケだ。 タトゥーが首から見えてるけど。) 琥珀は絶対イヤなのに。 「俺はイヤだよ。女装はしない。」 「いいよ、男同士の記念撮影だ。」 「和服なら少し在庫があるよ。」 「余計な事、言うなよ!」  結局二人で着物を着て撮影する事になった。 男らしい着流し姿で。 「今日は琥珀の番犬は?」 「え?メイの事?」  出かけていた。大学時代の友人だというロジャーの所へ。 (早く帰って来て、メイ。)  でもみんながいるから大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。  外から賑やかにミカドとヒロシが入って来た。 「ねえ、メイはいないの?」 出かけている、と言うと 「いつ帰ってくるの?せっかく来たのに。 あたしもメイと撮影したい。」 騒いでいる。 「粟生ちゃんはいないのか?」 「あんた逃げ回ってたじゃない。」 サイコに言われた。 「いや、歌が聞きたいな、と思って。」 「ロックバーのライブは夜だよ。」  亮が馴れ馴れしく琥珀の肩を抱いている。 イヤそうな顔の琥珀。

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