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第139話 三郎
ジョーが心配して、ネットを見るのを止める。
「こんなのパラノイアの考える妄想だよ。
サブの無垢な心を壊そうとしてくる奴なんだ。」
荒ぶる魂、とサインがある。
「ふざけるな!」
サブはジョーに寄り添って手を握る。
「このジョーの手の温もりに救われてるよ、僕は。」
眠る時、ジョーの手を探す可愛いサブ。
「こんなに大好きなんだ。この手を離さないで。」
お互いがいるだけで心が温かくなる。
「こんなに大好きなんだ。」
抱きしめる。
「この書き込みの奴、荒ぶる魂、だって。
ふざけてんなぁ。目の前にいたらぶん殴ってやる!」
俺たちみんなが罪人だというのか。おかしな理屈だ。
なるほど、と思う所もあるけど、今ここで生きている事が全て罪深いというのか。
「ふれあって、愛し合うことの尊さを、この荒ぶる魂,って奴は知らないんだな。」
胸が締め付けられる。サブを抱いているだけで満ち足りた気持ちになるのが、全部否定されるのか。
「こんな書き込みに影響されるなよ。」
サブを抱きしめる。鬱の沼に落ちないように。
この所、仕事を持って充実した暮らしが始まっていた。安心していた。ジョーはサブが心配だ。
荘助と小次郎が、ベッドにやってきて
「こんな時こそ、八犬士の仲間と話すべきだ。
嫌な気持ちはみんなで分け合えば小さくなるよ。」
「そうだね。
明日、白浜ベースに行った時に話そう。」
犬たちがサブを守るようにベッドに乗って来た。心強い重みだった。小次郎は小さいが、荘助はデカい。微笑みながらいつのまにか眠った。
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