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第141話 スサ
負け惜しみな気持ちが顔を出した。
「はい、みんなそろそろ慣れてお友達も出来たようなので、今日はグループを作ります。
どうやって分けようか?」
担任は恐れていた事を言い出した。オレは幼稚園の時もこれでイヤな思いをしている。
「仲良しグループがいいでーす。」
女子が言い出した。
(やめてくれ!仲良しなんか一人もいない。
グループなんて絶対無理無理。名前の順とか、背の順とかで普通にやってくれ!)
心の中で叫んだ。担任は、手間を省くのと、物分かりのいい先生だと思われたいのとで、仲良しグループという方法を選んだ。
「じゃあ、4人ずつになって見て。
数の合わない所は後で調整するから。
グループ出来た人から座って。」
みんな大喜びで席に着いた。もう打ち合わせが出来ていたのか。
クラスは33人。4人で割って、一人余ったオレは呆然と立ち尽くす。
いつの間にかみんなはお友達になっていた。
担任は事もあろうに、あの4人組に
「余っちゃったわね。アマッタクンを仲間に入れてあげて。」
その日からオレのあだ名はアマッタクンだ。
4人組はちょっとイヤな顔をしながらも、先生の手前か、しぶしぶオレを仲間にいれた。
子供はプライドの塊だ。
次の日から学校に行けなくなった。
親は不思議がる。学校では無神経な担任が
「お友達が学校に来れるようにお手紙を書きましょう。」
と言い出したらしい。
みんなは訳もわからず、なにか「励ましのお手紙」を書いてよこした。
「どうして、学校に来ないの?」
「みんな待ってるよ。」「給食美味しいよ。」
何か
オレの気持ちとはかけ離れた物だったが、中に
ドキリとするものがあった。
「ぼくがともだちになってくださいといったからがっこうにこないのですか。
ぼくのことがきらいだからですか。
きみがこないとぼくがいじめられる。
アマッタクンにされてしまうからがっこうにきてください。」
これは仕返しか?人の感情は恐ろしい。知らないうちに悪者にされる。誰も信じられない。罠だらけだ。人間不信になった。
そんな事の繰り返しで誰とも仲良くなれないまま成長した。
初めに人を選り好みして排除したのは自分なのに、人が信じられなくなった。人はみんな裏切る。心を開いたら足もとを救われる。そんな考えに凝り固まった。
どうせみんなオレが嫌いなんだ。
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