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第144話 サイコパスって?
鉄平の顔色が変わった。
「おい、おまえケンカ売ってんのか?
あ、おまえだよ。見覚えあるよ。
小次郎を蹴った奴だ!コイツだよ。
大ケガさせたんだ。
よく平気でこの辺うろついてんな。
なんか言う事あんだろ。」
サブは泣きそうだ。
「ひどいよ!僕の犬だ。死にかかったんだよ。
内臓破裂する所だったんだよ。」
幸い、小次郎のケガは、外傷がなく、治りつつあるが、あれ以来サブのベッドでしか眠れなくなった。
「え、あのうざいチビ、オタクの飼い犬だったんスか?そりゃどーも。放し飼いにしてる方が悪いね。ノーリードは違反だろ。
法律的にはオレ悪くないし。裁判になったら負けるのオタクだよ。オレ、法学部。へっ。」
「見かけねぇ奴だな。馬鹿かおまえ。
チワワが悪いって?喧嘩売りたいの?」
「動物虐待は5年以下の懲役、または500万円以下の罰金だよ。法学部が知らねぇのかよ。」
ジョーがサラリと言った。
スサは自分の態度が悪い事に気づいていない。
(クソッ。なんでオレを責めるんだ。寄ってたかって。みんな頭悪いからだな。
理解できないか?オレの言葉。
オレはいつも宇宙の真理とか高尚な事を考えてるからな。
大学でも誰もオレと話したがらない。オレが頭良すぎて怖いのか?)
スサはある意味,ブログでは真理に近い事を考えついたりしている。だが、絶望的なコミュニケーション能力の欠如で、他者と分かり合えない事に気づかない。いつも一方的なのだ。
(なんだよ。せっかく来てやったのに気分悪いな。だから人と関わるのはイヤなんだよ。
家にいてもネットにイヤな事書いてくる奴多いしな。みんな頭の悪さを恥じろ!
ムカつくんだよ。)
スサは、自分が気が小さくて傷つきやすい事を自覚していない。全部周りが悪い、と思っている。
サブは家に帰ってからジョーがそばにいてくれる事に感謝した。膝に抱かれて
「スサっていう人は寂しがり屋なんだね。」
「え?どうしてそう思う?」
「なんかひとりぼっちが染み付いてる。誰にも助けを求めない事に慣れすぎてる。
犬とか飼えばいいのに。でも暴力とかはダメだ。」
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