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第149話 ロックバー 3
「ハイ、粟生だよ。
今夜も頑張ってやります。よろしくね。」
下○沢のクラッシャーチームが来ているので粟生も張り切っている。
昔のハードロックをやってみんなノリノリだ。メンバー紹介で下○沢の連中が驚いている。
「ギターの神様がいる!本物?
ここで生の演奏が聴けるなんてすげぇ!」
「犬遠藤崇彦だ。なんでこんな所にいるんだ?」
「こんな所で悪かったな。」
「あ、ごめん。」
「ここのライブ、チケピで扱ってるかな?
告知しないともったいない。」
数曲終わって汗だくの五月雨が、琥珀のところにやって来た。タオルで汗を拭っている琥珀に五月雨が熱いキスをした。
「わっ!」
「何で聡が驚くんだよ。」
「目の前でキスするなんて。」
「聡って昭和?おっさん臭い。」
琥珀に言われて呆然。今時はこれが普通なのか。
聡も恋人という存在に憧れては、いた。
今まで友達もいなかった。恋人なんて恐れ多い。
憧れは憧れのままで終わると諦めていた。
ライブ目当ての客がだんだん増えて来た。途中でも入れる緩い店なのだ。
グラス片手にジャズなんかを聴く。そんな大人の店。夜も遅くなると雰囲気が変わる。
恋人たちが寛ぐ場所。ガキが騒ぐ店ではなくなる。亮がミカドの肩を抱いてキスしている。
亮はキス魔か。聡はドキドキした。
(みんな慣れてるなぁ。)
図書館カフェが終わってジョーとサブが二人で来た。サブの肩を抱いてエスコートするジョーが大人っぽい。
(一緒に住んでるって言ってたな。
じゃあ、毎日一緒に寝るんだ。
セックスだってしてるんだ。
みんなオレの知らない所で大人だ。)
聡の頭の中は妄想でいっぱいだ。
「あの、オレ帰ります。お会計してください。」
「いいよ、今日は俺がおごるよ。
もう少しいるから、俺のにつけておいて。」
「え、悪いよ、知らない人にご馳走になるのは。」
「ははは、知らない人じゃないだろ。
キスした仲じゃん。」
「きゃあ、亮ったら、アタシを差し置いて。
この浮気者!」
ミカドに叱られてる。
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