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第152話 聡
それからというもの、片岡聡は毎日、茂○の高橋自動車に通った。
雑用をする約束で、痛車の工程を学んだ。粘着質な性格は驚くべき集中力を見せた。
タダ働きだったが、愛車のミラココアにラッピングする事になった。実際にやってみないと、わからない事は多い。面白かった。車の事を学ばないとフルラッピングは出来ない。勝手にやると、外した部品が戻らない。
少しづつ勉強させてもらった。
ラッピングする前には、車をピカピカにする。
綺麗に拭き上げる。余計な物を外す。
整備士の高橋さんは仕事が丁寧で気持ちがいい。ミラはピカピカになってステッカーの位置も決まった。
全体にエイトドッグスのロゴと犬たち。擬人化した犬たちだ。シノとケノがチャーミングな女の子。そして真っ赤な鳥居。巫女姿の玉梓が空中を漂っている。まるで天女のようだ。
オータのオリジナルだ。画面の中に、小さく和彫の刺青のみっちゃんがいる。
天を背にして八房と思しき秋田犬が吠えた。
その咆哮が聞こえるようだ。エイトドッグスのボスは八房だ。
大型のプリンタから続々とステッカーが印刷されて来る。
「これを貼るのが超難しい。空気を入れないように、な。その上から透明なコーティングをする。
これが一番の山場だ。」
出来上がりを見にオショーと玉梓が、高橋自動車に来た。高橋さんに聞いて、費用を全額支払ってくれた。
「オショー、いいんですか。助かります。」
「白浜ベースを宣伝してくれる痛車だからね。
期待は大きいよ。車も買ってあげたかったけど、今回はスサくんの車でお試ししてもらう。」
玉梓が
「どんな出来上がりになるか、楽しみね。」
それからしばらくして痛車は完成した。
「わあっ、カッコいい!エイトドッグスだ。」
海をバックに海岸の駐車場に停めてあるミラは小さいながらもすごい存在感だ。
「痛車が集合するイベントをやりたい。
白浜ベースの宣伝になるよ。」
「痛車と一緒に撮影したいっていうコスプレのお客さんがたくさん予約入ってる。」
「いいわね。車持ってる人はみんな、おやりなさいよ。五月雨のスカイラインもいいんじゃない?」
玉梓が言った。フレディと鉄平が
「なんか、フェスやりたいね。」
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