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第162話 思わぬ展開

 ジョーに甘えているサブが羨ましい。聡は頭の中で妄想する。ジョーに甘えるサブのように聡もタカヨシ(サトウ)に甘えてみたい。タバコを吸っている指先がセクシーだ。 (オレは男が好きなのか。このごろ、おかしい。 いや、ただの欲求不満だよ。)  綺麗だ、と思う。タカヨシの仕草。 まだみんなの前ではしゃべらない。鉄平を通して会話している。 (オレにだけ、話しかけてくれたんだ。)  ふとした瞬間に目が合ってしまう。  酔っ払ってサイコが入って来た。 「バイト先の人とカラオケスナックに誘われて抜け出せなかった。ふうっ、疲れたぁ。」  いきなり座っているタカヨシの肩に抱きついて来た。 「サトウ、相変わらずかっこいいね。 すっごい好きなタイプ。無口な所がたまらない。」 「サイコ飲み過ぎだよ。」 鉄平が嫌な顔をした。 「いいじゃん、サトウ、何とか言えよ! 大好きだよ。」  最高に困った顔をしているタカヨシ(サトウ)を何とか助けようと間に割って入った。 「誰?あんた、見ない顔だね。可愛い顔してる。アタシこっちでもいいかな。」  タカヨシが立ち上がった。抱きつかれている聡の腕を取ってサイコから引き剥がす。 「ひど〜い、みんな冷たい。 アタシ、鉄平でいいや。」 「いい加減にしろよ、男が欲しいのか!」 「違う違う、全然違う。LGBTQAってわかる? アタシそれのAだから。ア・セクシャル。 男に興味ないの。セックスにも興味ない。 安心して。」 「誰が不安だって言ったよ。 お前が安心させられるのかよ。」  鉄平がものすごく怒っている。サイコが泣き出した。泣きながら鉄平に抱きついている。  背の高いサイコは小兵の鉄平より頭一つ大きい。  それでも鉄平は受け止めてサイコを抱きしめてやっている。 「よしよし、おまえは泣き上戸だったんだな。 俺、サイコを送っていくよ。」  車で来ている鉄平がサイコを連れ出した。 「誰か、サトウを送ってやって。」  酔っ払いのサイコを連れて鉄平が出て行った。鉄平は小兵ながら、男気のある奴だ。頼りになる。  聡とタカヨシは顔を見合わせた。 「いいよ、タカヨシ、送っていくよ。」

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