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第164話 タカヨシの部屋
なんとなく二人でいる事に馴染んでしまった。
ベッドに寝そべっているタカヨシの膝枕になる。
「昔から知ってる人みたいだ。」
「どこかですれ違ったかもしれない。」
サラサラの髪を指で梳きながら額にキスをした。
愛しさが溢れて止められなかった。
「聡、女とした事ある?」
「えっ?ないよ。男とだって無い。」
「ははは、そうだよな。俺もネットで見たことしかないよ。」
「してみるか?」
「え?今から?無理。準備がいるんだろ?」
ガバッと起き上がって
「嘘だよ。言ってみただけ。ただの好奇心だ。」
真っ赤になっているタカヨシが可愛い。
「オレ、帰るよ。今度ドライブに行こうぜ。」
「ああ、いいな。どこか遠くに行きたい。」
「その時、タカヨシとセックスしたい。」
聡も真っ赤になりながら、言った。
「ホントに?俺でいいのか?じゃあ、それまでに調べておくよ。」
「何?」
「やり方だよ。」
「わあ、恥ずい!」
向かい合って軽くキスした。
「ロックバーにいた奴としないの?」
「え?セックス?するわけないよ。
亮とはキスだけ。一方的にされただけだ。」
「俺たち、いい年して恥ずかしいな。
童貞、早く捨てたかったんだ。」
「え、オレとやりたいのは早く捨てたいだけ?」
聡は愛だの恋だの、と夢見ている自分の幼稚さを恥じた。
「男らしく童貞を捨てに行こう!」
「それで、どっちが攻め?どっちが受け?」
「あ、考えてなかった。」
肩に抱きついて本気のキスをした。初めての舌を絡めるディープキス。昂る気持ちで聡が言った。
「オレ、タカヨシに抱かれたい。変かな?」
「おお、聡、俺大切にするよ,おまえの事。」
役割分担はあっさり決まった。
それからしばらくタカヨシに会えなかった。
鉄平が教えてくれた。
「サトウ(タカヨシ)が、なんと自動車教習所に通い始めたんだ。ちゃんと教官と会話してるらしい。」
(なんか安心した。避けられてるわけじゃなかったんだ。)
白浜ベースで痛車の注文が増えて、聡も忙しくなった。
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