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第166話 犬たち

「僕たちの事、知ってるの?」 サブがジョーと二人でカフェをやってる事を言っている。 「うん、聞いたことあるよ。カップルなんだよね。二人で一緒に暮らしてるんでしょ。」  聡は驚いて 「え?そうなのか。どう?楽しい? 親は反対しなかった?」  暇なのかジョーも上がって来て 「親が大変だった。 でも、オショーが助けてくれたんだ。」  2人のいきさつを話してくれた。 「なんかこの頃、ゲイのカップルが多いな。 白浜ベースがハッテン場になったら嫌だな。」  何か、ナンパ目的、ヤリ目の輩が増えて、それが、有名になったら、嫌な場所になる。  不良の溜まり場になって怖い場所だと認識されたら、と心配になった。 「オショーの言う解放区って、双刃の剣だね。」  白浜ベースの先行きに暗雲が立ち始めた,最初の兆しだった。  図書館カフェの一階にはドッグスペースがあって犬連れのお客さんも入れるようになっている。  犬が苦手な人は客席がキチンと分けられている。 犬は上の階には上げない。図書館スペースだ。    帰り際に小次郎が走って来た。ジョーの荘助とタカヨシの源八もじゃれあって楽しそうだ。 「タカヨシ、源八どうやって連れて来たの?」 「今日は散歩がてら歩いて来たんだ。」  シュナウザーの源八はおとなしく足下にお座りした。 「オレ、犬に嫌われてるからな。」 「大丈夫だよ。犬たちは話わかる奴らだからな。」 「え?え?」  サブとジョー、そしてタカヨシまで犬を撫でながら笑っている。彼ら犬たちは、文字通り話のわかる奴らだった。 「聡は犬嫌いか?」 「ううん、犬がオレを嫌いなんだ。」 「蹴ったりするからだよ。 小次郎はもう怒ってないってさ。」  コジが、聡の手をベロンと舐めた。 「わあっ、食われる!」 「人喰いチワワか?ウケる。」  聡は 「オレ、動物とか可愛がった事ないんだ。 触るの初めてだ。結構かわいいんだな。」  ずっと心を閉ざして来た。小動物を可愛がる心の余裕は、なかった。 「二人になれる所に行こう。おまえにキスしたい。」

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