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第171話 聡とタカヨシ

 聡のミラに乗って二人で帰ってきた。玄関を入ると奥から聡の母親が出て来た。 「こんばんは、おじゃまします。」 「母さん、犬飼タカヨシだよ。 今夜はウチに泊まるから。」 「あ、いらっしゃい。ご飯食べたの?」 「オレが何か作るから、母さんは寝てくれていいよ。」 「そう、じゃあ、先に寝るわね。」  父親は、聡がこの頃、働いているので機嫌がいい。兄貴は工場に住んでいる。この家の2階は聡が占領している。  2階に上がってきた。屁理屈を捏ねるのが好きな聡の部屋も、また、本だらけだ。引きこもっていた時、もっぱら通販で本を買いまくった。本ならいくらでも父親が金を出した。  たくさんの書籍は聡の負の遺産のような気がする。孤独に一人、詰め込み勉強をした部屋。  でも、今夜は一人じゃない。 「聡、キスして。」  タカヨシがふっと笑って近づいて来た。並んで座って首に手を回してくちづけをする。  初めは遠慮がちに。だんだん夢中になった。 「ふぅー、苦しいよ。息が出来ない。 みんなどうしているんだろう? キスの時も水泳の息継ぎみたいにするのかな。 オレ、あんまり泳げないんだ。」 「可愛いな、聡。他の奴と練習出来ないもんな。」  もう一回キス。今度は舌が入って来た。 「うん?目、開けてる。やだなぁ、瞑ってよ。」 「聡だって開けてるじゃん。可愛いな。」  ベッドに倒れ込んで抱かれた。 「もう、止まらないよ。止められない。 触って欲しい。俺も触りたい。」  ジーパンの中に手を入れた。ジッパーを下げて前をくつろげた。窮屈になっている。 「大きくなってる。俺に欲情してる?」 抱きついて 「うん、してる。ギンギンになってる。 タカヨシも触らせて。」 「窮屈だね、脱いじゃう?」  シャツも脱いで裸で抱き合った。 「寒くない?」 「うん、毛布の中に入ろう。」  くすくす笑いながら裸の身体を絡ませて毛布に潜り込んだ。 「聡の匂いがする。」 「くさいって?」 「違うよ。好きな人の匂いは良い匂い。大好き。」  男同士の身体を弄りながら抱き合う。 「ヤバい。オレ、イキそう。」  タカヨシが毛布の中に潜って,口でしてくれた。  パクッと咥えられた瞬間、聡はイッてしまった。 「あ、ああ、ダメだぁ。」  タカヨシは飲み干してくれた。 「そんな事させちゃった。」

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