173 / 256
第173話 聡とタカヨシ 3
ミラに乗り込んで駅の近くのハンバーガーショップに行った。聡の痛車は注目の的だった。
背の高いタカヨシは、外で見てもカッコいい。聡もそこそこイケテルと思っているが、タカヨシは何だかまとっているオーラが違う気がする。
ハンバーガーショップでは外のテラス席に座った。
「俺、タバコ吸いたいんだ。いいか?」
タカヨシは酒もタバコもやる。大人だ。
「タカヨシは何才?」
「25才だよ。
鉄平もナナオもタイジも同い年だ。
ジョー先輩は2コ上だ。聡はいくつ?」
「オレ、23才。まだ学生だ。高校、普通に行ってないから、結構いい年だ。」
「偉いな。大学生なんだな。」
「うん、見栄張って頑張った。」
「何者になりたいの?」
「弁護士とか、見栄張れると思って法科に行ったんだ。」
「凄いな。」
「今となってはもうどうでもいいって気がする。
痛車作るのも面白いし、スサの名前でネットに書くのも面白いんだよ。」
タカヨシが手を握ってきた。
「全部、聡だ。頑張った聡なんだ。偉いな。」
笑って頬にキスしてくれた。
隣の席で食事していたカップルが嫌な顔をした。男同士はやっぱり違和感があるのだろう。
「キモいっ。ほっぺにキスした。いやだわ。
ホモ?」
カップルは若い夫婦なんだろう。女の人のお腹が大きい。こっちを汚い物でも見るような辛辣な言い方をされた。負けずに
「キモいっ。こんな不細工な女とセックスして
孕ませてるんだ。イモ?」
タカヨシが韻を踏んだ。やりすぎだ。
「やめろよ。失礼だよ。」
聡はハラハラした。タカヨシは気が強い。
ラップの時もケンカを売ってるようだった。
過激な男。そこが魅力だ。
車に乗り込んでオショーの神社に行った。昨夜
酔っ払いのタカヨシはシュナウザーの源八を玉梓に預かってもらっていた。
シノと一緒に連れて帰ると言ってくれたのだ。
賢い犬は一人でも家に帰れるけど、シノと仲良しなのだった。いつも散歩に行く神社だから慣れている。
「また、シノちゃんのご飯を分けて貰ってるな。」
源八とも熱い友情が感じられる。
ともだちにシェアしよう!

