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第174話 犬塚神社

 聡は、ミラを神社の駐車場に入れた。 社務所を覗く。 「ワンワンっ。」  嬉しそうに源八が走って来た。シノもついてくる。タカヨシは、源八の腹を撫でてやった。喜びようがすごい。 「すいません、預かってもらって。」  玉梓が出て来た。 「源八君も私に慣れて来たわ。 ケノちゃんは中々懐かなかったのよ。  今はみんな仲良しさん。」  柔らかく笑って、話してくれた。 聡は、以前から玉梓の存在に興味があった。聞きたい事はたくさんある。 「あなたが『荒ぶる魂』さんね。 面白い考察ね。興味深く読ませて貰ったわ。」 「あ、初めまして。 ネットなんか見るんですね。」 意外だった。  和服で古風な女性と、ネットの書き込みが結びつかない。 「オショーに教えて貰ったのよ、あなたの事。 あなたの死生観は興味深いわ。  どこで気付いたのかしら。 宇宙の真理、生命の真理。  あ、タカヨシ君、 あなたの犬はしゃべりますか?」 「えっ?」 聡は訳がわからない。 (この人、何言ってんだ?犬がしゃべる?) 「聡は、オータの漫画読んだ? 痛車にイラスト使ってるんだから、アニメも見てるだろ。」  エイトドッグスはファンタジーだろう。 奇想天外なみっちゃんの体験がストーリーになってるんだろう、と楽観して見ていた。  奇想天外な話なら、アニメにはたくさんある。 確かに聡も、スサ名義で書き込みをしている時は ファンタジーの世界にどっぷり浸っていた。  まるで、自分だけが宇宙の真理に気づいたか、のように。  さも、真理をつかんだか、のように書き込んでいた。  この美しい人は、何かを知っているのか。 何かに気づいているのか。  確か、巫女をしていたと聞いた事がある。 神職だ。神の声を聞いたのか?  そして謎の存在はあのオショーだ。 ここで真髄に触れるなんて。  タカヨシが心配そうに手を握ってくれた。 タカヨシを見つめて、落ち着きを取り戻した。 「玉梓さんはメイ先生のお母さんなんですよね。 お若くて、とてもお母さんには見えないけど。」 「ほほほ、オショーが来たわ。 何か、聞きたいのじゃない?」

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