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第182話 五月雨
アメリカの、オショーとブライアンの母校に進学した五月雨は、帰国してからは中学教師になって神社の離れで暮らし始めた
「この神社には,色々な秘密があるから、ここを守って欲しいんだ。
私が死んだ後、玉梓の力になってやってくれ。」
「オショー、まだ、だいぶ先の話だよね。
僕はここに住むよ。あのラクダにも言われているから。」
「ラクダが見えるのか。おまえはやっぱり玉梓の子だ。半分は人間じゃない。
一人で生きて行くんだ。覚悟はあるか?」
うすうす感じていた事だった。
長い玉梓とオショーの話だった。
ここにいる聡とタカヨシ、琥珀と犬たちは
納得出来ていない。
目の前のラクダも、石の橋も実際にここにある。そして犬たちが話している。
どれひとつとっても、謎に満ちているのに、なんだか現実感がないのだ。
「もう一つ、ここは同性愛カップルが多いですよね。これも何か不思議です。」
「たまたまじゃないの?偶然。」
「意外だったのは琥珀とメイ先生。」
「いやあ、タカヨシと聡だって意外だ。」
「それにジョー先輩と三郎君も驚いたよ。」
「急に柔らかい話題になったね。」
オショーが
「ま、様子を見よう、って事だね。
秘密を暴こうとすると、昔から悪い事が起こるんだよ。みんなも心して,気をつけて。」
この所、白浜ベースの動きには目を離せないものがあった。
いろいろなショップが出来た。ベースから少し離れたこの神社にも新しい風が吹いている。
人の秘密を暴き立てるのが好きな人間が一定数存在する。それは仕方がない事なのか。
「俺たち帰ります。源八も帰りたいと言ってるし。」
聡とタカヨシが源八を車に乗せて帰って行った。
「聡、俺の家に行って。源八を連れて帰らないと。」
二人は離れがたい気持ちになっている。
「二人の家があればいいのに。」
タカヨシのシャツがカッコいい。また、脱がせたい。そんなことを考えているのが伝わったのか二人は見つめあった。
聡が車を出した。
「源八を家に降ろして、ちょっとオレに付き合って。」
「いいよ。時間ならたくさんある。」
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