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第187話 一泊

聡はタカヨシをバリの雰囲気に連れて来た。 「どこかにお泊りしようって言ってたの、こんな形になってごめん。」 「あ、温泉に行こうって言ったね。 一晩ゆっくりって。  でも、二人でバリ、もいいよ。」 「いつか、本当のバリに行こうぜ。」 「うん、バリ島って憧れるよ。」  聡とタカヨシは夢のような時を過ごした。二人ついに結ばれたのだ。 「聡が可愛くてもう止められなかった。 大丈夫かい?」 「うん、気持ちよかったよ。 オレ、これが好きだったんだな。」  首に手を回してタカヨシにしがみつく。 (オレってこんなキャラだったか? 男に甘えてるなんて。) 「聡、後悔してない?初めての相手が俺で。」 「タカヨシはどうなんだ? オレはよかったと思う。 タカヨシにしてもらって 幸せな気持ちになった。」 「今日の事、忘れたくない。 記念になるものを買おう。買い物に行こう。」    少し背伸びをしてタカヨシのシャツのボタンを一つ一つ留めながらキスした。 「タカってカッコいいな。」 抱き寄せられて 「聡も可愛いよ。」 「オレはカッコいいって言われたいな。」 「あ、ごめん、カッコいいよ。」 「ぷっ、うそ。」  車を出して郊外のアウトレットを目指した。 「何買うの?」 「うん?指輪とか?あ、高い宝石は買えないよ。」  少し寂れ気味のアウトレットモールをゆっくり歩いた。  タカヨシに似合いそうなシャツを見つけて聡がプレゼントした。  タカヨシも聡に着てもらいたいTシャツを買った。お揃いの下着を買った。 「こんな派手なビキニブリーフ、穿いたことないよ。オレ、いつもトランクス派だから。 「Tバックもあるよ。これにする?」 「いやぁ、ダメだよ。はみ出しちゃう。」 「それ、いいな。見てみたい。」 「タカの変態。」  堂々と肩を抱いて歩く。ここではみんな変な顔はしない。  お揃いの太い輪っかのピアスを買った。聡は穴がない。帰ってから考えよう。 「腹減ったな。 ファストフードしか、ないな。 何食べたい?」 「魚、魚が食べたい。」 「じゃあ、白浜ベースに戻ろう。 美味い海鮮丼の店があるよ。」  急いで車に戻った。 痛車の周りに人だかりが出来ていた。

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