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第188話 DJタイジ
痛車の周りに人だかりが出来ていて焦った。
「これ、アニメ、エイトドッグスのイラストですよね。すごいカッコいいな。白浜ベースの人ですか?」
若い子が聞いて来た。
「そう、白浜ベース知ってるの?
オレが痛車の注文を受けてるんだ。
キミたちもやるかい?」
仲間らしい連中から、やりたい!と声が上がる。
「俺、親父の車だから、無理だな。
こういうのやってみたい。白浜ベースで痛車の集会、やってくださいよ。」
なんだか嬉しくなった。タカヨシと顔を見合わせて頷いた。
白浜ベースに帰って、古民家食堂で海鮮丼でなく、鰯のフルコースを食べた。
なめろう、が名物なだけあって美味い。丸干しもそのまま、頭から全部食べられる。
「おまえ、魚好きなんだな。食べ方が上手だ。」
タカヨシに褒められた。いつも魚を料理してくれる母親に感謝だ。
あのロックバーに二人でやって来た。DJタイジに会うためだ。
「俺に頼みってなんだ?」
タカヨシが
「俺たち付き合ってるんだ。それで、二人の記念にピアスを付けようと思って。
俺は穴開いてるからいいんだけど、聡の耳にも開けたいんだよ。」
タカヨシの持ち込んだピアスは初心者には太すぎる。
「いきなりこんなの、無理だよ。こんな太いの
入らないよ。」
「なんか言葉だけ聞いてると、エッチな話してるみたいだ。」
「あ、ほんとだ。エロいな。」
みんなで笑ってしまった。
「俺の知ってる彫り師に頼んでみるか。
医者でもない人間が施術するのは違法なんだよね。」
「皮膚科に行けばいいよ。」
すごく真っ当な話に着地した。
昔は根性で自分で開ける人も多かった。
「涅槃寂静のボスはすごかったね。
サボテンみたいにボディピアスが付いてた。」
「キスするの大変そうだった。」
「ボスはマラピンも入れてるらしいよ。」
「マラピンって何?」
「ペニスに真珠、だよ。」
タカヨシに言われて聡は息を呑んだ。
「ボスがゲイでないことを祈るよ。
アナル好きとかな。」
「アソコが裂けちゃうよ。怖い世界だ。」
「女の子だって痛そうだな。」
DJタイジが笑い転げている。
「自分を改造するのが好きな奴って、いるんだよ。」
「女の子がなんだって?」
サイコが奥から出て来た。
「いや、デリケートな場所の話だ。」
タカヨシの首に抱きついて
「サトウったら、いつからそんな隠し事、するようになったの?悪い子だ。」
ディープキスをされた。聡は唖然としている。
粟生も出て来て、
「ボディピアスなら、アタシも入れたい。
どこに入れるの?どこ、どこ?」
「じゃあ、チームエイトドッグスで揃いのピアスを入れるのはどうよ。」
「アタシ、眉毛の端の所。それか下唇。」
「なんか野蛮な集団になって来た。思ったのと違う。」
タカヨシが
「俺たちの愛の印、なんだよ。」
「聡とタカヨシ、ついにやっちゃった?」
「入れられちゃった代わりに入れるのか、ピアスを。」
「なんか露骨だなぁ。」
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