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第190話 一文字のタトゥー
聡とタカヨシは毎日一緒に過ごしている。
聡は痛車の注文を受けて兄貴に繋ぐのが主な仕事になっていた。
タカヨシはものすごいスピードで自動車運転免許を取った。自由な時間があるので毎日予約を入れて最速で取った。
いつも、良き理解者のタカヨシの母親が、免許を取ったお祝いに車を買ってくれた。聡の車を見ていたから痛車にする事は最初からわかっていた。
痛車に人気のインプレッサWRXの中古がちょうど手に入った。
「痛車に最適だよ。」
高橋自動車の高橋さんが見つけてくれた
「すごいな。おふくろさんに感謝だ。」
タカヨシの両親は聡と出会ってからの、生きる事に積極的な息子を喜んでくれた。
二人の関係は知らないが、良い友達が出来た、と思っている。
タカヨシの運転で、彫り辰、の所に行った。
徐々に広げて来たピアスの穴はだいぶ大きくなった。今日は小さな何かの牙のようなものを穴に突き刺した。別に痛いわけではない。
「穴にブッ刺さってる。」
二人とも牙状のピアスが刺さってる形がおもしろくて気に入った。
「もう穴が大きくなったね。
内側に皮が出来たら完成なんだ
次回はこの前持って来たピアスを入れよう。」
「記念に何か小さいタトゥーを入れない?」
聡が言い出して見本帳を見せてもらった。
目立たない所に二人で入れておきたい、と話し合った。
「漢字一文字がかっこいいな。」
「源八が玉を持ってるんだ。信の文字が入ってるんだ。
信と聡の文字を取り替えて、お互いの腿に入れることにした。聡が信、タカヨシが聡、だ。
交換して腿に入れる。そんなに大きくない江戸文字で入れた。
「DJタイジやジョー先輩みたいなトライバル柄も憧れるけど、オレはこれでいいや。」
「なんか嬉しいな。
犬たちはみんな玉を持ってんのか?」
「ああ、多分な。今度みんなに会ったら聞いてみよう。」
八犬伝ではそれぞれ文字の入った玉を一つずつ持っている事になっている。
どこに隠しているのか、なぜか、八匹の犬がそれぞれに持っているらしい。
「文字に意味があるんだろうな。」
「また、ファンタジーになって来た。」
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