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第200話 犬たち
思わずスペインナイトになったロックバーとは関係なく、無頼庵で、犬たちは今抱えている問題について話し合っていた。
「八房が結界を感じて神社に入れないなら
神社に何か秘密があるんだろ?」
道節くんが言った。
「なるほど、そう言う考え方もあるね。
やっぱり、あの橋かな。」
伏姫に会いたい八房。お互い、死んでしまったはずなのにその思念が彷徨っていると言うのか。
「神社のどこかに異世界につながる場所があるはずだ。八房がそこに行けるようにする事だ。」
「狛犬の所から先に進めないんだったよね。
狛犬を見に行ってみよう。何かヒントがあるかも。」
ケノは前向きだ。
みんなで神社の鳥居まで来た。狛犬がいる。
「狛犬って近くで見るの初めてだ。」
「一般的に狛犬と言うのは神社の入り口を守っているのです。片方は獅子だって書いてある。」
「スゲェ、おまえ、字読めるの?」
道節君は物知りだ。サイコの部屋でよく本を読んでいる。
「狛獅子かぁ。もう一つは角があるよ。一角獣か。」
「オスとメスだと思ってた。」
「じゃあ、両方ともオスなの?」
「阿吽(あうん)って言うんだ。
阿行と吽行。初めから終わりまで、とか言う意味だ。」
「男も女もないって。こだわらないって事?」
犬たちが口々にいろんなことを言う。
いつの間にか八房がそばに来ていた。
「結界、この辺りから始まってるなぁ。
ここから先に行けない。」
すると身体の大きな荘助と大角が片方の狛犬に近づき、その台座によじ登り
「みんな、離れて!」
狛犬を台座から引きづり落とした。頭が取れ、ヒビが入っていたのか、狛犬は見事に滑り落ちた。硬い地面に落ちて粉々になった。
何か光る小さなものが飛び出してスゥーッと消えた。一瞬の事だった。
「あーあ、狛犬壊しちゃったよ。」
八房が上ずった声を上げた。
「わあっ、私は神社の境内に入れそうだ。」
「凄い音がしたけど、大丈夫かなぁ。」
シノが何か見つけたようだ。みんなの前にコトンと置いた。
「あ、勾玉だ。」
薄桃色の小さな勾玉だった。
八房がこれを咥えて神社の中に歩いて行く。
勾玉を下に置いて八房は言った。
「これがあると普通に入れるよ。」
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