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第206話 古着
亮の部屋にヒロシとバイク乗りのブンちゃんがやって来た。
「ああ、盛り上がってるね。」
ブンちゃんはオシャレなオーバーサイズのハーフジーンズに分厚い靴下、BECKのレザーステッチを履いている。上はオーバーサイズのTシャツ。タイダイのデッドキッズだ。
「お、グレートフルデッドの絞り染め。
カッコいいなぁ。高そうだ。」
「四万八千円だったかな。」
「高ぇ!たかがTシャツに五万円近く出すのか?
ユ○○ロのTシャツが何枚買えるよ?」
みんな古着屋の奥の深さにぶっ飛んだ。
「白浜ベースにも古着屋があるといいなぁ。
オレ、やろうかな。」
聡が言い出した。
「ここ、下○沢にはたくさんの古着屋があるから、見て行けよ。ブンちゃんが顔が利くから。」
ブンちゃんはバイク乗りだ。今となっては、ヴィンテージバイクのようなCB400Fourに乗っている。今日はヒロシとタンデムで来た。
「あんまりハーフパンツは履かないんだけど、今日はうっかり足出した。」
バイク乗りは長袖、長ズボンが基本だそうだ。そして丈夫な皮ジャンを着る。
いつもはヒロシは舎弟の達也に運転させて来る。亮もアツシという後輩に愛車のBMWの運転を任せている。
亮のベムべは痛車になった。走るエイトドッグスの宣伝カーだ。
聡がタカヨシに
「オレ、古着屋、やりたくなった。
オショーに相談してみるよ。」
ミカドが嬉しそうに
「ロンドンの友達を紹介するよ。」
まだまだロンドンには掘り出し物がたくさんあるという。
何かに夢中になっている聡は凄く魅力的だ。
今日はタカヨシが運転して来た。
インプレッサも立派に痛車になっている。道行く人の注目を集めて、安全運転で来た。
古着屋の構想をみやげに白浜ベースに帰る。
「運転してるタカヨシが素敵で目が離せない。」
「やめろよ。緊張するだろ。」
その横顔がとても魅力的だ。
「帰りにあそこ、寄って行く?」
ホテルに入ろう、という事だ。二人で出かけるといつも帰りはこうなる。
ちょっと顔を赤くして聡が頷いた。
いつもの「バリハイ」に車を入れた。
聡が一万円札を入れて鍵を受け取る。ここは先に一万円、朝まで過ごしたら、帰りにまた一万円を入れる。二万円のホテルだ。
チェックアウトはゆっくり正午だ。もう常連になった。ゲートに車を入れてタカヨシと熱いくちづけを交わした。
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