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第207話 長い指

 綺麗な男だ。抱かれるたびにそう思う。 「タカ、起きた?」 「ああ、聡は大丈夫か。激しくしたから。」 「オレ女みたいな気持ちになった。 やめろよ、オレを女にするの。」 首の下に手を入れて抱き寄せて、キス。 「俺、女、知らないから。 ただ、聡が可愛いな、と思って。」  タカヨシに抱かれるとこの上ない安心感がある。自分を守って欲しい、と思うのは女々しいか。このままずっと抱いていて欲しい。  でも抱かれていると繋がりたい、と思うのだ。 「可愛いな、聡。」  可愛いと言われたくない。タカヨシは端正な顔をしている。綺麗な男だと思う。  聡だけを見て愛してくれる。この時間がいつか壊れる時が来るのか。  身体中を愛撫されてまた反応している。 「凄いな、これ。」 長い指で握られる。  タカヨシのモノもさっきから、裸の腹に当たっている。手を伸ばすと勢いよく跳ねて来る。 「凄く元気。眠る前にたくさんしたのに。 タカって絶倫?」 「絶倫の意味がわからないな。 聡に触れていると何度でもこうなるんだ。 聡のいない夜は中々眠れない。」 「一緒に暮らしたいね。 ジョー先輩とサブみたいに。」 「俺が家を出たらいいのか?」 「あの優しいおふくろさんが寂しがるかな。 タカは父親との関係はいいのか?」 「もう俺の事は諦めてるな。 就職もできない男はダメだ、っていう人だから。」 「ラッパーじゃダメなの?認めてくれないの?」 「あの世代は頭が硬いからな。」  住むところを探そう、という事になった。 もう一度激しく愛し合った。どちらからともなく手を伸ばし、お互いの昂まりを握った。  タカヨシは聡の大切なところをローションをたっぷり使って解す。昨夜の激しさが残っていてすぐに解れる。あの長い指が探る。 「ああ、タカ。すぐに入るよ。入れて。」 後ろからあてがってもう入りそうだ。 「あっ、入って来たよ。」 グッと腰に力が入って奥に進んでくる。 「あ、ああ。」 気持ちいい所に当たっている。慣れて快感を感じるようになって来た。  背中から抱きしめられて奥に入って来る。 「聡の凄い締め付け。もう、イキそうだ。」 激しく腰を動かしてもう、何も考えられない。 光が煌めく。 「しっかり掴まって。」 「うん、連れて行って。」

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