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第210話 醜金平

 ロックバーに人が集まって来た。 下○沢のクラッシャーのメンバー。 F市の涅槃寂静のメンバー。 聡の同級生だった走り屋の奴ら。 「こんちは。ずいぶんな歓迎じゃねぇか。 噂を聞いて覗きに来たよ、白浜ベース。」  貫禄のあるチビが声をかけて来た。小兵だが、これだけの輩を仕切っているらしい。バイクと車の空ぶかし、が煩い。  『無頼庵』に向かって声をかけて来たようだ。 鉄平が出てきて 「咲耶さんのロックバーにみんないるよ。 ここはレイヤーさん達がいるから迷惑だ。」  ロックバーはまあまあ大きい箱だが、輩たちも人数が多い。 「ロックバーね。何か聞かせてもらえるのか。」 なりは小さいが尊大な態度だ。店に入ってきた。オショーが急いでやってきた。 「何か、飲み物を。ソンベ何飲む?」 仲間らしき男が訊く。 (韓国人?中国人?) 「あんた達は何者なんだ? 早速、被害が出ているんだよ。」 オショーが穏やかに訊く。 「今日はビジネスの話ね。 近頃、景気のいい白浜ベースに私たちも一枚噛ませてもらおうと思ってね。  私が声かければインバウンドで中国からの旅行客たくさん呼べるね。  出店させてもらえれば、儲けさせてあげるよ。 キッチンカーならそんなに資金なくても出来るし、古着もヴィンテージがたくさん入るルートがある。どうだ、私たちと組まないか。」 下○沢の亮たちと古着屋の話をしたばかりだった。あとから、タカヨシと聡も入って来た。 「古着屋だって? オレやろうと思ってたんだよ。」 ミカドが聡の腕を引っ張った。 オショーが察して 「古着屋なら、すでにオファーがきているよ。」 「いいの、いいの。競争社会だ。 もう一軒、私にもやらせてよ。 どっちが儲けるか?競争よ。 自由主義経済の国でしょ。 日本いい所。 金さえ積めば何でも売ってくれる。」 仲間らしい奴らがニヤニヤしている。 「ケバーブの屋台、弁償するね。 一緒にやって行くのだから。  私の名前は、醜・金平。コンペイだよ。 醜い金平糖、と覚えてね。」 人を食った奴だった。

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