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第214話 教育委員会

「気をつけるのは、薬物、闇カジノ、性犯罪、そして闇バイト。」  オショーにくれぐれも念を押されて帰って来た。  数日後、タカヨシが焦って家に入って来た。 痛車狩りにあいそうになって、逃げて来たのだ。 「煽られた。目の前に割り込んできて急に止まる。ぶつかりそうになって急ブレーキ。その繰り返しで、脇に入れる農道を見つけたから曲がって逃げた。ギリギリ道、知ってたから助かった。」  どうも車体に派手なエイトドッグスの絵が付いた車を煽ってくるらしい。  聡は何台も痛車を製作して送り出して来た。 ファンが増えると嬉しかった。 「ヤバいよ。もう公道走れない。 ファンのみんなにも連絡しよう。」  痛車の顧客名簿を広げた。そんなに多くはない。しばらくベースに来ないように、というのはつらいことだった。  帰って来た聡はげっそりやつれていた。 「タカヨシ、俺を抱いて。」  二人とも愛車はすっかり痛車だ。ファンもついている。コスプレして痛車の前で写真を撮るのが流行っていた。  混雑に嬉しい悲鳴をあげていた。  タカヨシに抱かれて安心する。愛し合っている恋人たちの邪魔をするのは誰だ?  突然、『無頼庵』に教育委員会を名乗る人たちが訪ねて来た。 「こんにちは。外に停まっている車の持ち主とお会いしたいんだけど。」 「はい、俺です。」 「もう一台軽自動車もあるわね。」 「はい、オレのですけど。」  いきなり写真を見せられた。写っている車は確かに、派手なイラストのインプレッサだった。 「お二人はどのような関係ですか?」 「そんな事、答えなければいけませんか?」  『無頼庵』の中で詰問されている。みんな顔色を変えた。フレディが怒っている。 「プライベートな質問に答える義務があるんですか?」 「率直に申し上げると、お二人は関係があるのでしょうか?  あの、ホモセクシュアルなご関係ですよね。」 「教育委員会に写真が送られて来たのです。 この車が国道のモーテルから出てくる所ですね。  この白浜ベースはそんな事を広めているのですか?」 「そんな事って何ですか?」

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