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第219話 古着屋
ミカドの口利きでロンドンから古着をダンボールで送ってもらった。
ジャンボちゃんの「妖博覧会」の建物の並びにちょうどいい空き家があった。
元土産物屋だったようで、間口が広い。
下○沢の亮たちが手伝って、手作りの店が出来た。彼らは解体するだけでは無い、大工仕事も慣れたものだった。ストリートアートの得意な奴がいて、壁面に派手な絵を描いてくれた。
送られて来た船便の箱をいくつも開けていると
ジャンボちゃんが見に来た。
「いいねえ、掘り出し物がたくさんある。」
面白そうなマスコットがたくさん出て来た。
「妖(あやかし)さんにならべたら?」
ファイヤーキングのカップ類が入っていた。
「すごい、よく割れなかったね、船便で。」
みんな出てくる品々に興味津々、大興奮だった。
「古着屋は聡が責任者でやるんだろう?」
「ミコトとタカヨシに手伝ってもらう。」
痛車はしばらく自粛しよう、と話し合ったばかりだった。
あの金平が古着屋に改造したステーションワゴンのトラックを聡たちの店に横付けした。相変わらずやることが派手で下品だ。
「そこに停めないで。うちの車が入らないから。」
聡が言っても動かさない。
「ケンカ売ってんのかよ。」
「並ばれるとなんか都合が悪いのか。
ウチの古着は安くておしゃれだよ。
商売で勝負しようぜ。
どっちがたくさん客を集められるか。」
輩が偉そうだ。
聡は宣伝を兼ねてネット販売もはじめた。
「聡、少し休憩しよう。」
タカヨシに肩を抱かれて店に入った。店の中はゆったりとスペースを取って、ソファが置かれている。ミカドの指揮の元、選びに選んだ衣類が壁にディスプレイされている。
店内はヒップホップの音楽が流れてカッコい
い。隣のトラックは、カッコいいが、商品の飾り方がめちゃくちゃだ。真ん中に雑に積み上げられた古着の山。
ハイブランドの商品がこれ見よがしにぶら下がっているが、山にはブランド品は入っていない。
みんなタグはメイドインチャイナ。中国製お得意の偽物、コピー商品ばかりだった。
「単なるユーズド。ヴィンテージモノは一つもない。客寄せにハンガーにぶら下げてあるのはハイブランドだけどヴィンテージじゃない。」
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