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第220話 会えない
タカヨシに中々会えなくなった。
聡はものすごく忙しくなったのだ。持ち前の集中力で古着の知識を吸収していく。
痛車の時とは商品の性質が違うので、一つ一つ自分の目で確かめなければならない。
古着で一攫千金を狙っているマニアがたくさんいるので競争が激しい。
今までファッションにさほど興味はなかったが、今は古着に夢中だ。
タカヨシは元々おしゃれで洋服には詳しかった。こだわりもあった。
この所ミカドのレクチャーで聡のマニアっぷりは半端じゃなくなって来た。
会えない日が続く。会えてもわずかな時間。
ミカドと過ごす時間は増えたが、亮がしっかりミカドをエスコートしている。こちらも今までにない亮の彼氏っぷりだ。
「聡、今日何時に仕事終わりそう?
俺の家にヴィンテージっぽいジーンズがあるから見にこいよ。」
「え?行く行く!どんなジーパン?」
「501だよ。前に見つけた時二本買ったんだけど
俺には短くて。そのまま置いてあったんだ。」
久しぶりのタカヨシの家。おふくろさんが歓迎してくれる。
「タカヨシが古いジーパン、引っ張り出してるわよ。カビ臭いわ。」
「おじゃましまーす。」
挨拶もそこそこ階段を駆け上がる。
「ジーパン、どれ?」
ベッドの上に二本広げてあった。
「わ、こっちのはビッグE、だ。後ろのポケットについた赤タブのEが大文字なんだ。
60年代のかな。ちゃんとボタンフライだし。
こっちは501ダブルX(エックス)だ。
50年代のかな?
タカヨシがこんなジーパン持ってるなんてすごいよ!売らないで、タカが穿きなよ。」
「俺には短いんだよ。聡にやるよ。」
こつちに来いよ、って言うタカヨシに久しぶりに抱きしめられた。おしゃれなタカヨシに抱かれて気持ちが舞い上がる。
「好き好き大好き。」
「女子みたいだな。」
「寂しかったよ。」
「俺もおまえに会えないと死にそうな気分だった。お前の周り、いい男ばかりだもんな。」
(久しぶりのタカヨシはすごくセクシーだ。男にセクシーとか言うのはへんかな?
でも抱いて欲しいって思った。
親が下にいるから遠慮しなければ、と思うのに、
もう我慢が出来なかった。)
「聡、してもいいか?」
「うん、オレもしたい。」
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